啓示15・16章－七人のみ使いが七つの災厄を注ぎ出す(21)王国が暗くなり人々がかいようで苦しむ

 

    第五の者が野獣の座に神の怒りの鉢を注ぎ出すと、王国は暗くなり、人々は苦痛のあまり、自分の舌をかみました。しかし、その苦痛とかいようのために、野獣の崇拝を悔い改めるのではなく、神を冒とくすることが預言されています。(啓示16:10,11) 

　王国が暗くなるとは何を意味するでしょうか。自分の舌をかむとは何を意味するのでしょうか。神を冒とくするとは、何を意味するでしょうか。 

(1)暗くなった王国とは? 

 王国とは、当然神の王国ではなく、野獣の座に座っている者の支配する領土を意味しているでしょう。(啓示17:17)この野獣の領土で明確になっているのは、啓示13章の冒頭で海から出て来る野獣です。この野獣は、「十本の角と七つの頭」があり、「ひょうに似ていたが，その足は熊の[足]のようであり，その口はライオンの口のよう」でした。(啓示13:1,2) 

啓示13章の海から出てくる野獣の領土の王国は暗くなる 

　ですから、この野獣は、ダニエル7章に出て来るバビロン、メディア・ペルシャ、ギリシャ、ローマ帝国の四つの獣の複合の野獣です。(ダニエル7:4-7)ですから、この野獣の王国とは、上記の帝国の領土にある諸国家です。ですから、今の中東、北アフリカ、中央アジア、ヨーロッパの一部となります。 

(2)王国が暗くなったとは? 

　では、王国が暗くなったとは何を意味するのでしょうか。イザヤ書には、「苦難の闇」という表現があります。(イザヤ5:30)ですから、暗くなるということは、苦難を経験することを意味するのかもしれません。今でも、その地域の諸国家は、どちらかというと、他の地域よりも紛争やテロ行為が頻発しています。それで、将来、「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」が登場する時、上記の地域の野獣の王国がさらに一層苦難で苦しんでいてもおかしくはありません。 

Mstyslav Chernov啓示13章の野獣の地域はテロや紛争などの苦難の闇が将来さらに一層たれこめることが予期できる 

　実際、七人のみ使いの第五の者が神の怒りの鉢を野獣の座に注ぎ出すと、人々は、「苦痛のあまり、自分の舌」かんだと書かれています。(啓示16:10)舌をかむとは何を意味するかを特に示唆する聖句はないようです。とにかく苦痛を経験することを表わす表現のようです。ですから、野獣の座に対して注がれた神の怒りの鉢のためにその野獣の地域の王国の人々は、ひどい苦痛を経験することが預言されています。 

　そして、人々は苦痛だけでなくかいようを経験します。悪性のかいようを経験するという事は、第一の者が鉢の中から地に注ぎ出すことによって、野獣の印を持ち、野獣の像を崇拝している者たちが経験したことです。(啓示16:2)野獣とその像を崇拝するために、文字通りの病気に感染することはありませんから、これは比ゆ的な病気の症状です。 

　比ゆ的な病気も文字通りの病気と同じく、文字通りの死をもたらします。イザヤ1章には、イスラエル国民が霊的な病気であることが説明されています。これは、野獣の崇拝者が、神の目に清く健康でなく、病気であることを示していると思います。(イザヤ1:4-6)罪深い国民は、神の律法を無視する生活のために、比ゆ的に体全体が神の目に病んでいました。 

　野獣とその像の崇拝者は、エホバ神ではなく野獣とその像を崇拝します。野獣の崇拝は人間の崇拝という事もできます。ところが、人間は、神から離反したアダムの子孫であるため、神の律法を無視する傾向があります。(ローマ5:12) 

　しかし、物事を正しく見る神の目から見ると、野獣とその像の崇拝者は、神の律法を重んじていないので、霊的な病気に感染しています。

 

 

 野獣と野獣の像の崇拝者たちは・・・ 

神の目から見ると体中がかいようだらけの病気に感染している

　　 第五の者が野獣の座に神の怒りの鉢を注ぎ出すと、王国は暗くなり、人々はひどい苦痛を感じることになります。(啓示16:10,11)このことは、第五の者が啓示13章や17章に出て来る野獣の地域の政治国家あるいは政治指導者の崇拝の顕著な所に、神の怒りの鉢を注ぎ出し、人々が野獣の崇拝という霊的な病気のために苦難を経験することを明らかにするのでしょう。 

(3)悔い改めるのではなく神を冒とくするとは何を意味するか? 

　　七つの神の怒りの災いを注ぎだす最後の者の第五の者は、剣をとって北と南が戦うことが、神の怒りを買うことを明らかにするでしょう。しかし、それらの王国の人々は、実際、野獣の崇拝、つまり、政治国家あるいは政治指導者の崇拝のために舌をかむようなひどい苦難を経験しますが、ひどい苦難を経験しても、悔い改めて野獣の崇拝をやめようとはしません。 

　かえって、その苦痛と霊的な病気のために、神を冒とくし、非難するようです。野獣の王国の地域ではどんなことが起きるのでしょうか。スミルナの会衆では、「ユダヤ人である言いながら、実はそうではなくサタンの会堂に属する者たち」が「冒とく」として、スミルナ会衆の者たちの一部を「次々に獄に入れる」ことが預言されています。(啓示2:9,10) 

　確かに、北の王は、背教したキリスト教に改宗すると考えられるので、それらのクリスチャンたちは、クリスチャンならば、剣をとって南の王と戦うのが正しいと主張することでしょう。そして、聖書に忠実に従って兵士として戦うことを拒否する者たちを強制収容所や刑務所に投獄することでしょう。それは、実際には、エホバ神に対する「冒とく」です。 

野獣の王国の人々は忠実なクリスチャンを迫害することによって神を冒とくし野獣の崇拝をやめない 

　また、啓示13章には、「天に住む者たち」、つまり、「聖なる者たち」を「冒とく」することによって「神を冒とく」することが預言されています。(啓示13:6)これらの啓示の書の「冒とく」に関する記述から、野獣の王国の人々は、神に忠実な聖なる者たちを迫害したり、投獄したりすることによって神を冒とくします。そして、彼らは、聖書の音信を聞いても、野獣の崇拝をやめようとはしません。 

　最終的には、海から出て来る複合の野獣の地域は、北の王の影響下に入ります。ダニエルの預言は、大患難の後でさえ、北の王の地域に、神の民が存続していることを示しています。(ダニエル11:44)

　　大患難の後に、北の王を「かき乱す知らせ」、あるいは発表が「北」から来ることが預言されているからです。しかしながら、聖書は北の王の地域に住む神の民が可能であるなら、中立の地域に逃げてくるように勧めています。(ゼカリヤ2:6)それが最善の対処法だと考えられます。