キリスト教良書を読む  第2回 No.2『生の冒険』

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

工藤信夫
医学博士

ポール・トゥルニエ著
久米 あつみ訳
日本キリスト教団出版局

「トゥルニエを読む」という学び会で、最も多くの参加者が励ましを受けたと語るのは『生の冒険』(一九九六年、ヨルダン社)である。
おそらく、その理由は、私どもの信仰理解や聖書理解において人生の様々な危機を〝試練〟ととらえることはあっても、“神の冒険〟ととらえる視点がなかったからかもしれない。

人間に固有の本能―冒険心

トゥルニエは言う。「私は冒険という欲求は本能とみなすべきだとさえ考える。……この冒険本能は……人間の魂から消え去ることはけっしてない」(八頁)創世記一章の天地創造の物語が、その根拠である。そして、この「冒険本能」は人間の活動の大切な原動力になる。人はこの力に押し出されて、科学、芸術、学問的な探求に走る。コロンブスもこういう探求心があったからこそ、地の果てを見極めようと航海に乗り出し、ニュートンもリンゴが木から落ちるのを見て、万有引力の法則を発見した。そして、パウロの異邦人伝道も、ルターの宗教改革もよく考えてみれば、“神の冒険〟のひとつである。

宿命的理論の法則

しかし、この冒険精神は開拓期を過ぎると「管理精神」にとって代えられる。つまり、築いたものを持つと、組織化しなければならなくなる。かくして、開発心に落ちた冒険精神は管理精神にとって代えられる。また、この冒険精神の枯渇は予想以上に早い(四五頁)。このことをトゥルニエは「彼らが任を引き受けたのは使徒職としてであったのに、……役人になってしまった」(四七頁)という印象深いことばで表現している。そしてその意味内容は次のことである。「すべての宗教運動やセクトは、聖霊の強いうながしによって出来たものではあるが、数の増加や成功という事実自体によって、大きな機構に成って行く」「管理しなければならない相当量の金額がたまった。秩序が必要だ。事務所を借りなければならない。いつの日にかは壮大なビル建てよう。……こうなるともう冒険ではない」(四七頁)。

信仰生活の刷新という新しい冒険

この冒険精神の枯渇に対して、神はその時代ごとに新しい預言者たちを送り出したという。
聖ヒエロニムス、聖フランシスコ、ルター、聖イグナチウス、ウェスレーなどである(五〇頁)。ところがおもしろいことに、いや困ったことに、こうした新しい光は教会をよみがえらせるどころか、“教会を裏切り、破壊するもの〟として排撃されたという。
次の言葉は意味深長で示唆的である。「正規の教会はいつでもすべての深刻な霊的冒険を拒絶して来たし、襲撃をうけたあとではじめて、自分の迫害したものによって救われたことに気づくのだ」(五〇頁、傍点は筆者)。
イエスも、明らかにこのひとりである。当時の人々もイエスを十字架につけてしまった後、はじめてこの人はまことの人であったと気づいたのだから。

私たちの現実と冒険精神の回復

今もなお、私たちの現実は驚くほど保守的、伝統墨守主義で非冒険的である。宗教なり、信仰は守るべきものと教えられ、神を信じる人生は順風満帆ととらえるのである。それゆえ問題が起こると、それは不信仰、不従順の結果ととらえてしまう。
トゥルニエが『人生の四季』四章にわざわざ「キリスト教は人間を抑圧するものか、解放するものか」という別項目をあげ、神の戒めに反しないかどうかと、絶えずオドオド、ビクビクしているキリスト者の状態は、宗教ではなく、律法主義、道徳主義でないかと問うているが、彼が描いたこの信仰者の姿勢は、今日の日本のクリスチャンにも通じるものがある。
「ほとんどの人々は、他の分野との関係をほとんど見もしないで、せまい専門の中で全生活を送っている。……教えられたもののほか何も想像しようとせず、観察するように言われたもののほか何も見ようとせず、……いつも同じ新聞を読み、同じ人とだけつき合い、同じ主題についてしか語らないのである」(二七二、二七三頁)
私は、『これからのキリスト教』(いのちのことば社)の中で、離婚した牧師と信徒の実際例を引用している(六七~七三頁参照)。神の祝福から外れ、神に見捨てられたと思っていた世界が、実は新しい世界への旅立ちであり、さらなる神の恵みの発見であったことが、そこに証しされている。キリスト者は、過酷とも思われる人生の危機を試練と捉えがちであるがそれが、神を新しく発見する〝生の冒険〟であることに案外、気づいていないのではないだろうか。

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Emmanuel

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