コヘレトの言葉9章・何ひとつ知らない死者は復活を待っている(新共同訳・口語訳)

　死んだ人があの世から生きている人を見ているとか、死んだ人は天国の神のもとに行ったとか言われることがあります。死んだ人は、意識があるのでしょうか。聖書は死んだ人がどんな状態であることを示していますか。

　まず、新共同訳のコヘレトの言葉には、死んだ者が何の感情も意識もないということが書かれています。コヘレトの言葉には、「生きているものは、少なくとも知っている自分はやがて死ぬ、ということを。しかし、死者はもう何ひとつ知らない。・・・その愛も憎しみも、情熱も、既に消えうせ」ていると述べられています。(コヘレトの言葉9:5,6)

Funeralof Daniel Danielson Bjørkedal 1917byFylkesarkivet i Sogn og Fjordane(photograph1)聖書は死んだ人が何も知らないと述べています

　ですから、聖書は、生きている人が自分がいつかは死ぬという意識があるのとは対照的に、死んだ人は、何ひとつ知らないし、愛や憎しみや情熱を感じることもできないと述べています。死んだ人には、考えたり感じたりする意識がなくなっているのです。

　これは、どうしてかと言うと、人間は死ぬと土の塵に戻るからです。なぜなら、聖書によると、神は人間の身体の材料として土の塵を用いて人間を創造されました。創世記2章7節によると、神は「（アダマ）の塵で人（アダム）を形づく」ったことが書かれています。

　もしアダムが神に従順であり続ければアダムは神に支えられて、いつまでも生き続けることができるはずでした。しかし、アダムは神の命令に背いて、善悪の知識の木の実を食べたため、死ななければならなくなりました。(創世記2:17)神は、命令に背いたアダムに「塵にすぎないお前は塵に返る。」 と言われました。(創世記3:19)

　私たちは、動物や魚の骨を土の中に埋めておくならば、それはいつかは土になってしまうということを知っています。もしくは、火葬場に行ったことがある人であれば、人間の身体は燃やせば、灰になることを知っています。それは、土と同化します。それで、人は死ぬと、その体は分解して、土の構成成分である諸元素になります。

DSCF1891.jpgby Photo Bean (deadfish)死んだ魚は最後には土になります―死んだ人にも同じことが起こります

　死ぬと、人間の体から生命力は失われて、人間の身体は、崩壊して土になります。人間が考えたり感じたりできるのは、脳があるからです。もし、その脳が崩壊して土になるなら、何も考えたり感じたりできません。  アダムは神に創造される前はどこにも存在していませんでした。それで、人は死ぬとこの世に生まれる前の状態に戻ります。存在しなくなるのです。

Imagefrom page 162 of "Soils, how to handle and improve them"(1907)byInternet Archive Book Images(soil11)聖書は人は死ぬと土の塵になると言っています

　

    では、なぜ多くのクリスチャンは、死んだら天国に行って意識が存続していると信じているのでしょうか。それは、イエス・キリストが一世紀になって神の国の希望を宣明されたからです。(ルカ8:1)   そして、聖書は確かに一部の人々について、「自然の命の体が蒔かれて、霊の体が復活するのです。」と述べています。(コリント一15:44)ですから、一部の人々は確かに復活する時、霊の身体を与えられます。

　それは、何のためでしょうか。聖書は人類の一部の人々が王また祭司になると言っています。啓示には、キリストが、「御自分の血で、神のために人々を贖われ、彼らをわたしたちの神に仕える王、また、祭司となさった」と述べられています。(黙示録5:9,10)

　　それらの人々は、人間のままでは神の国に入れません。コリントへの手紙一15章50節には、「肉と血は神の国を受け継ぐことはできず、朽ちるものが朽ちないものを受け継ぐことはできません。」とありますから、朽ちる肉と血の身体では、神の国を受け継ぐことはできません。   ですから、それら王また祭司になる人々は天に朽ちない霊者として復活させられます。

　しかし、箴言には、「王の栄えは民の多いことにあり、君の滅びは民を失うことにある」とあります。(箴言14:28口語訳)当然、国家が存在する時、すべての人が王になるわけではありません。すべての人が王になって王に治められる民がいないなら、その人は王とは言えないでしょう。神の国には王も民もいるはずです。普通は王よりも治められる民の数の方が多いです。

(kingandsubjects1)聖書は一部の人々が将来天で王になると言っています―しかし王がいるならそれより多くの臣民がいるはずです

　昔イスラエルの国家でも王は一人でした。また、一部の人々が祭司になりました。しかし、他の大勢の人は、王と祭司の奉仕を受ける人々でした。ですから、おおぜいの王に治められる民がいるはずです。

　　一方、聖書はこの地上に永遠に生き続ける人がいると述べています。詩編37編29節には、「主に従う人は地を継ぎいつまでも、そこに住み続ける。」とあります。ですから、この地上に永遠に生き続ける人間もいます。

MostAmazing High Definition Image of Earth - Blue Marble 2012 by NASAGoddard Photo and Video (earth10)聖書は大勢の人々がこの地球上で永遠に生きることを約束しています

　

　ですから、聖書は天の王また祭司になって霊者として永遠に生き続けるという希望と、この地球上で人間として永遠に生き続けるという二つの希望を差し伸べています。   ですから、人々は、天あるいは地上に復活すると言う希望があります。天に復活する人々は、朽ちない霊の身体で復活させられます。地上に復活させられる人々は、血と肉でなる人間の身体で復活させられます。

　　もうひとつ、人々が死者が意識があるということを信じている理由は、霊媒などが死者の声を伝達するからです。(申命記18:11)そして、死者の霊を見たと考えている人もいます。

Threeelderly people with two spirits by National Media Museum(spiritphoto2)死者の霊と考えられているのは実際には悪霊で人間を騙しているのです

　しかし、聖書は、そうした霊は死者の霊ではないことを示しています。そうした霊は悪霊です。悪霊たちは神によって最初は良い天使として創造されましたが堕落してしまったのです。(ユダ6)そして、死者の霊のふりをして人間をだましています。

　

　聖書は、復活の定めの時が到来するまでは、人は死んで土になっているだけであることを示しています。どこにも存在しません。それらの人々は、ぐっすりと深く眠っているのと同じ状態で、周りで起きていることは全く分かりません。聖書は「死の眠り」と言っています。(詩編13:3)     死者は存在しなくなっています。ただ神の記憶の中で生きていて、天であれ地上であれ復活を待っています。私たちはこの将来の希望を感謝できます。

(hug3)大多数の死者はこの地上に復活してきます―それまで死んだ人は神の記憶の中だけで生きています