エホバ神はエデンの園でサタンが反逆するのをなぜ統制できなかったのですか

　エデンの園で、サタンが反逆し、そのサタンがエバを惑わし、アダムが神に反逆する結果になりました。ある人々は、神はサタンが神に反逆する可能性を考えられなかったのか、また神はサタンをなぜ統制できなかったのかと考えるかもしれません。

　そのことについて、検討してみましょう。

　エホバ神は、み使いのひとり、また、アダムとエバがご自分の支配権に逆らう可能性を予見できなかったのでしょうか。その可能性があることは、エホバ神はご存知であったと考えられます。

　そのように考えられる理由のひとつは、自然界の中に人間が病気になった場合に有効な物が豊富に備えられているからです。

　例えば動物が作り出す物質や多くの植物の中には、抗がん作用が高い物がたくさんあります。癌は主に人間世界に罪が入り込んだ結果、生じた物だと思います。しかし、人間が例え癌になったとしても、それに対処する助けになる物がすでに存在していたのです。

　このことは、エホバ神は、いろいろな可能性を事前に考えて準備しておられたことを示しています。ですから、神は人間がご自分に逆らって事態が難しくなる可能性も考慮に入れておられました。

　さらに、サタンが反逆した時点で、神はサタンを滅ぼすこともできたのです。当然、エホバはアダムとエバをその場で殺すこともできました。なぜなら、神と知的な被造物が力で正面からぶつかった場合、知的な被造物はひとたまりもないからです。　　エホバ神は、全能で大変強い力を持っておられ、その力は被造物に比べて圧倒的です。(イザヤ40:26)それにもかかわらず、エホバ神は力任せの恐怖政治を行われませんでした。　

　エホバ神はサタンを統制できなかったのでしょうか。エホバ神は霊者のひとりがご自分の支配権に疑問をなげかけることを許されました。(創世記3:4,5)　エバに話した蛇の背後に悪魔サタンがいました。(啓示12:9。ヨハネ8:44)彼は人間が神に逆らって善悪の知識の実を食べたとしても、人間は神のように行動できると主張しました。(創世記3:5)つまり、人間は神から独立して首尾よくやっていくことができるとサタンは言いました。

　それで、被造物は、エホバ神に支配されず自由に思考し、疑問を抱くことが許されています。私たちはこのことで憤慨するのではなく、感謝できるのではないでしょうか。

　サタンが、ご自分の支配権に挑戦したので、エホバ神はその挑戦を受けて立ちました。それで、エホバ神はサタンと人間が自分たちの望む仕方で、支配を行なうことを許されました。

Adrawing of a brown tree snake (satan2)神はサタンの反逆が進展することを一時的に許されました―神は被造物が自由に思考を働かせることを許されています

　エホバ神は、悪魔サタンとアダムとエバを即座に処刑されなかったのは、被造物の永遠の益を図ってのことです。知的な被造物が物事がどのように進展するかを学んで益を得るためでした。

　　エホバ神は、被造物の支配とご自分の支配がどのようなものになるかを時間をかけて示すことにされました。そのために、神はサタンと人間が自分たちの自由意志を行使して、ご自分に反逆する事態を許されました。

　それで、アダムとエバの子孫は、神の支配から離れてありとあらゆる支配形態を試すことが許されました。人類の何千年もの歴史は神から離れた人間の支配がどのようなものになるかを示しています。また、キリストが地上におられた時行われたことと、将来神の王国が行うことは、神の支配がどのようなものになるかを示します。

　エホバ神は被造物の自由意志を尊重されます。また、被造物が学んでご自分の支配権を自発的に認めるようになるように、最大限の辛抱強さを示されたのです。(ペテロ第二3:9)　

　エホバ神は変化する事態に対応しつつ、ご自分の目的を必ず成し遂げることができます。(箴言19:21。イザヤ14:24)それで、エホバ神は事態が進展することを許されました。

　エホバ神はすべてのものを創造されたので、すべてのものについて最もよくご存知だからです。被造物の強さも弱さも特徴も限界もご存知です。また、エホバ神は、将来を予知することができますし、またご自分が意図されたことを行なうことができる全能の力を持っておられます。

　聖書によると、サタンは一時的に生きることを許されているのです。(出エジプト9:15,16)神は将来、まず千年間サタンを無活動状態にされます。(啓示20:2,3)そして、神の王国の千年間の支配の後、悪魔サタンを完全に滅ぼされます。(啓示20:10)

　サタンが投げかけた疑問は誠実なものではなく、自分が崇拝されたいという利己的なものだったので、エホバ神はサタンを最終的に滅ぼされます。(エゼキエル28:2)それで、サタンが存在することが許されているのは、エホバ神がサタンを滅ぼす力がないからではありません。

　悪魔サタンが滅ぼされた後は、神の支配権の正しさは完全に立証されています。それで、それ以降、悪魔サタンのように神の支配権に挑戦する者が現れても、エホバ神は即座にその者を滅ぼすことができます。ですから、宇宙の平和が永遠に保証される結果になります。

　エホバ神は今、ご自分の支配の重要性を示すために、サタンが存続し続けることを辛抱しておられるだけなのです。サタンは神の支配権が完全に立証された後、滅ぼされてしまいます。

　エホバ神は、被造物がご自分に反逆して事態が難しくなる可能性を予見できなかったわけではありません。神は、そのために事前に自然界に準備をしておられました。

　また、エホバ神は、サタンの反逆によって事態が収拾できなくなっているのではありません。知的な被造物が学んでいく存在であることを知っておられ、サタンの反逆が進展することを許されたのです。

　被造物の永遠の平和が保証されるために、エホバ神は一時的にサタンと悪の存在を許されているのです。

　そして、事態がどのように進展しても、エホバ神はご自分の目的を成し遂げられます。生じた事態に対応して、エホバ神は対策を講じられるのです。それで、エホバ神は被造物の自由意志をできる限り認めて下さいます。このことに私たちは感謝できるのではないでしょうか。