荒廃をもたらす嫌悪すべきものは啓示13章の野獣の像と同じ実体か

　「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」という語は、ダニエル書に2か所、福音書に2か所出てきます。(ダニエル11:31;12:11。マタイ24:15。マルコ13:14)荒廃をもたらす嫌悪すべきものは、北の王によって設立され、終わりの時に全世界に対して大きな権威を振るうことになります。

　聖書が唯一真の神から霊感を受けていると考えるならば、荒廃をもたらす嫌悪すべきものがどんなものであるかを示すヒントが聖書の他の箇所にもあるはずです。

　啓示13章に子羊のような二本の角のある野獣が野獣の像を作ることが予告されています。では、荒廃をもたらす嫌悪すべきものと野獣の像は同じ実体を別の言葉で表現したものなのでしょうか。今回、そのことを検討しましょう。

　まず、ダニエル11章によると、北の王が「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」を据えますが、北の王は昔ギリシャのアレクサンドロス大王の帝国が四つに分かれた王国から出てきます。(ダニエル8:8,9,22,23)ですから、北の王はもともとイスラム圏の国から出てきます。しかし、北の王の国は、もともとイスラム教の国であっても、イスラム教ではなくなることが預言されています。

　なぜなら、ダニエル書に北の王は「自分の父たちの神に何の考慮も払わない。」と預言されているからです。(ダニエル11:37)ですから、北の王は、「自分の父たちの神」つまりイスラム教の神アラーに考慮を払いません。

　しかし、北の王は、「要害の神に対しては、自分のその地位からも栄光を帰する。その父たちの知らなかった神に対して」金、銀、宝石、望ましい物によって「栄光を帰し」ます。(ダニエル11:38)要害の神とは、聖書の神を意味します。(ヨエル3:16,17)ですから、北の王は聖書の神に敬意を払います。つまり、北の王は改宗してキリスト教を奉じるようです。

　そして、啓示13章の後半に登場する野獣も、同じようにキリスト教の特徴を持っています。なぜなら、その野獣は子羊のような二本の角を持っているからです。(啓示13:11)子羊とは聖書の中で、イエス・キリストを意味します。(ヨハネ1:36)ですから、子羊のような二本の角を持つ野獣とは、一見して聖書の神とキリストに敬意を払うように見えます。つまりキリスト教の国です。

　ですから、「子羊のような二本の角を持つ」野獣は、北の王の特徴を持っています。

(lamblikebeast1)子羊のような二本の角のある野獣はキリスト教に見えます―北の王も聖書の神に敬意を払います―どちらも偶像を提唱します

　そして、子羊のような二本の角を持つ野獣は、「剣の一撃を受けながら生き返った野獣のために像を作るように地に住む者たちに言い」ます。(啓示13:14)そして、その野獣は、「野獣の像をどうしても崇拝しない者たちをみな殺させるように」します。(啓示13:15)ですから、子羊のような二本の角のある野獣は、野獣の像の崇拝を促進します。

　そして、ダニエル書によると、北の王が「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」を据えます。(ダニエル11:31)そして、北の王は、「自分を高め、自分を大いなるものとしてあらゆる神の上に高める」ことになっています。(ダニエル11:36)北の王は、自分に対する崇拝を促進します。

　また、福音書のイエスの預言の中にも、「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」が自らの絶対的な崇拝を推進することが予告されています。なぜなら、イエスの預言によると、「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」は、「聖なる場所に立つ」ことになっています。(マタイ24:15)

　つまり、神に対する「常供のものを除き去る」ことを行った後、自らが神のようになって崇拝を受ける場所に立つことが預言されています。(ダニエル11:31)

　さらに、「嫌悪すべきもの」とは偶像を意味します。(エゼキエル7:20;20:7)「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」も野獣の像もどちらも偶像です。

　それで、野獣の像と、「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」の特徴は同じです。また、北の王がすることと、子羊のような二本の角のある野獣のすることは同じです。このことからも、野獣の像とは、荒廃をもたらす嫌悪すべきものと同じ実体であると言えるでしょう。　(啓示13:14。ダニエル11:31)

　それで、啓示13章を調べると、北の王が「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」を設立するにあたってどのように行動するのか、さらに詳細な情報を得られることが分かります。   啓示13章についてまたさらに解釈を試みたいと思います。私たちは、終わりの時に起こることを前もって知り、その時どのように行動するのが神のご意志にかなって一番最善なのかを洞察することができます。

　北の王とそれによって設立される「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」に対する偶像崇拝に陥らないように努力を払わないといけないことが分かります。私たちは聖書の預言の神エホバ神だけを崇拝しましょう。