山口陽一
東京基督神学校校長
小畑進牧師の遺稿の出版は多くの人の願いでした。しかし、そこには難問がありました。小畑進先生は、かねがね「神の栄光のみ」「ひっそりと消える」「葬式不要、献体」と家族に言い遺し、さらには「説教原稿も残すな」と釘を刺しておられたのです。その遺志を尊重して葬儀は行われず、先生は静かに住まいを天に移されました。私たちはそのさっぱりとした身の処し方に敬服しつつ、為すべきことは何かと考え、ご家族に著作集の提案をいたしました。
長男信吾氏のことばに「父のすさまじい献身」とあったことを受けて、次のようにお伝えしました。「小畑先生は、その生き方を貫徹され、その願いは遂げられたと考えます。これからは『こんなことしやがって!』と叱られつつも『喜ばれる』ことを、そして神に栄光が帰されることをしてゆくことができればと、考えております。(中略)『すさまじい献身』から生み出された仕事であるがゆえに、神の国のために用いられると確信いたします」
ご家族のためらいは大きなものでしたが、何度かのやり取りの末、「献身者として父の残したものが神の御用のために用いられるならば」と承諾くださいました。大きな喜びでした。いのちのことば社の長沢俊夫氏の熱意と関係者の賛同を得て、刊行委員会・編集委員会が立ち上がりました。刊行委員長として、天国で小畑先生に叱られる役は丸山忠孝先生。委員会はご家族の希望に従って範囲を広げずに日本長老教会と東京キリスト教学園の関係者。編集委員会の構成は、東京キリスト教学園の柴田敏彦、大和昌平、小林高徳、山口陽一と編集者の長沢俊夫とし、二〇一〇年三月二十五日に最初の編集会議が開かれました。
* * *
編集方針として、すでに単行本として出版されたものは含めず、数多くの原稿の中から小畑先生が出版を準備していたものに限定することにしました。「ヨハネの黙示録講録」は、実際にその説教を聴き、ご自身でも黙示録の研究をしておられる柴田敏彦先生による綿密な校正を経て、すでに全四巻のうち第一巻が刊行されました。「ペテロの手紙Ⅰ・Ⅱ講録」と「伝道者の書講録」は、小畑先生の「伝道者の書」の説教で信仰に導かれた小林高徳先生が担当する予定です。
丸山忠孝委員長は、刊行のことば「『小畑進著作集』を世に問う」において、小畑先生を牧師、説教者のみならず思想家として位置付けています。
「思想家としての貢献は、時代の流れや新思想に追随することなく、伝統的キリスト教と日本の伝統文化との相克という原点に肉迫した同氏の信仰に求められましょう。その信仰は根拠を聖書の律法、預言者、使徒の書に置き、アウグスティヌス、ルター、カルヴァン、パスカル、内村鑑三、植村正久などに範を求めるもので、絶筆となった論文は日本思想に対してキリスト教有神論が直面する大難題の一つ『悪の起源』を主題としたように、日本宣教の根本問題との取り組みを特徴とします」
この理解が著作集後半の編集方針となっています。
品切れとなって久しい『コリント人への手紙第一提唱』や、改訂版が待ち望まれる『キリスト教慶弔学事典』などへの期待もありましたが、今回はさまざまな紀要や雑誌に書かれた論文と随筆に限定し、その散逸を防ぐのみならず、仏教を中心とする東洋思想研究の全体像を明らかにすることをめざしています。先生から東洋思想、日本思想の講座を受け継いだ大和昌平先生がこれを担当します。礼拝学に関する論文は神学校の講義録の一端であり、教会をめぐる随筆は心血を注いだ牧会の中で生まれたものです。教会の文集に書かれた牧会の随筆、礼拝学に関する論文、句集などとあわせて小畑先生の人間味を知ることができるでしょう。これらは、「信仰随想」として最後の二巻に収録します。
また、全巻予約者には二十数人による「記念文集」と「講演・説教CD」が贈呈されます。著作集の付録として貴重なものになるでしょう。ちなみに小畑先生の蔵書は東京基督教大学図書館に寄贈され、書込みや付箋の多数ある本は記念文庫、重複のない本は図書館蔵書、仏教学の書物は研究室登録の蔵書として用いられます。このように完成度の高い限定された遺稿による著作集ですので、編集は順調に進んでいます。その背後にあるのは、小畑先生の遺志を尊重する方々の多大なる貢献に他なりません。
ご家族をはじめ、杉並教会、池戸キリスト教会、刊行と編集の委員各位、いのちのことば社の担当者に心より感謝申し上げます。
He is a cross pendant.
He is engraved with a unique Number.
He will mail it out from Jerusalem.
He will be sent to your Side.
Emmanuel
Bible Verses About Welcoming ImmigrantsEmbracing the StrangerAs we journey through life, we often encounter individuals who are not of our nationality......
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