新約聖書よもやま裏話 第19回 神学書、それとも宣教書?「ローマ人への手紙」の目的

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

伊藤明生
東京基督教大学教授

 ローマ人への手紙に対して、皆様はどのようなイメージをお持ちだろうか。難解な神学書、信仰義認の教理、宗教改革……などなど、小難しいイメージを持たれる方も少なくないのではないだろうか。

様々な影響を及ぼし

 四世紀の神学者であるアウグスティヌスがキリスト教に回心するに際して、「取って、読め」という子どもたちの声を聞いて、読んだ箇所は、ローマ人への手紙一三章後半であった。

 宗教改革者のマルティン・ルターが信仰義認の教理にたどり着き、ローマ教皇の教えに異を唱えるきっかけとなったのは、ローマ人への手紙から講義をした結果と言われている。

 また、スイスのジュネーヴで改革に取り組んだジャン・カルヴァンは、『キリスト教綱要』という神学書を若くして執筆したが、その構造は、ローマ人への手紙に基づいている。

 英国でメソディスト運動を始めたジョン・ウェスレーは、ルターによるローマ人への手紙の序を読んで、回心に至ったと書き記している。

 このように、ローマ人への手紙は、キリスト教会の歴史や神学に多大な影響を与えてきた。そして、往々にして神学的に読まれ、神学的な側面が強調されてきたのは事実であり、まるで神学書であるかのように読まれてきた。

 パウロがローマの人々に宛てて手紙をしたためてから、ほぼ二千年の年月が経った。当時のキリスト者たちが生きていた世界と私たちが今生きている世界とは大きく異なるが、神学的真理とは、時間や空間、さらには文化を超越するものである。そういった意味では、ローマ人への手紙が神学的に読まれるのは自然ななりゆきと言えるだろう。

 確かに、ローマ人への手紙の大部分は神学的な内容で占められている。まだ訪れたことのないローマのキリスト者たちに、パウロは全人類の罪、キリストの贖いのみわざ、信仰義認、聖化、献身、倫理を書きつづった。

パウロの意図

 しかし、パウロはいわゆる「神学書」を書くという意図を持っていたわけではない。では、なぜ二千年前に彼はローマの「家の教会」に宛てて手紙を書き送ることにしたのだろうか。どういう目的があって、神学的な事柄を書く必要を感じたのだろうか。(こういう問い自体、聖書学者の病気のようなものかもしれない。少々辛抱いただきたい。)ローマ人への手紙を読んでみると、あいさつとともに、ローマのキリスト者たちの信仰のゆえに神に感謝を献げ、何とかしてローマに行って福音を宣べ伝えたい、という願いが書き記されている。

 その後で、パウロは福音を恥じないと述べ、福音が神の力であり、神の義が福音に啓示されていると続ける。そして、天から啓示されている神の怒りに言及し、異教世界を断罪し、さらにはユダヤ人をも糾弾している。

 パウロは主要な神学議論を展開した後、今後の展望や計画を分かち合う。すでに地中海世界の東半分の大半で宣教のわざが完成したこと、先駆者精神に燃えて、新たな宣教地を求めて、地中海世界の西、最果てのスペインにまで出かけて行って宣教したいとの願いを伝えている。その宣教旅行の途上で、ローマへの訪問を期待している旨を伝えているのだ。

 どうやら、パウロは地中海世界の西半分を宣教するに際して、ローマの教会を宣教拠点、派遣教会としようともくろんでいたようだ。

やはり宣教の思いが

 パウロが自らの神学の神髄を説明したのは、ローマのキリスト者たちが共通の福音理解に到達することを期待していたからだ。さらに一四章と一五章で、信仰の「弱い人」と「強い人」たちとがキリストの福音に根ざして一致するように教え諭している。

 パウロはローマに行く前にまず、マケドニアやアカヤの異邦人教会が貧しい聖徒たちのために集めた支援金を携えて、エルサレムに向かうことを計画していた。しかし、エルサレムで何らかの危険が自分の身に及ぶことを予感し、ローマのキリスト者たちに祈りのとりなしを要請している。

 一六章の冒頭では、ケンクレアの執事フィベが紹介されている。パウロはローマ教会宛の手紙をフィベに託して、フィベが各「家の教会」を訪問して手紙を朗読することを期待していた。

 それだけではなく、フィベのローマ行きの主要な目的は、パウロが企てていたスペインまでの宣教旅行を支援するように、ローマのキリスト者たちに要請することだったかもしれない。だからこそパウロは、あえてフィベをここで紹介し、推薦し、派遣する意図を伝えているのだろう。新改訳で「助けてくれた人」と訳されている言葉は、いわばパトロンも意味する語である。

 このようにローマ人への手紙を読むと、パウロの救霊に対する情熱があふれていることがわかるのだ!

著者主宰HP「新約学への招待」http://homepage.mac.com/akioito58112/

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