ルカ文書への招待(4)

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

(① ② ③)

Equipper Conference 2016に向けたルカ文書の入門コラムとその補足、第4回は、ルカ文書の序文についてです。

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ルカが語る福音の物語④ 「『みことば』の書」

どのような本であっても、序文というのは、その本を理解するために欠かせないものです。序文には、その本が何について、どのような目的で書かれたのかが記されています。今回は、ルカ文書(ルカの福音書と使徒の働き)の序文を見てみましょう。

 私たちの間ですでに確信されている出来事については、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、私たちに伝えたそのとおりを、多くの人が記事にまとめて書き上げようと、すでに試みておりますので、私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。(ルカ1章1-4節)

この序文を見て気づくのは、そこではイエス・キリストについては一言も触れられていないということです。福音書の冒頭でルカは、読者のテオピロにこれから書こうとする物語の中心的主題について述べているはずですが、「福音書」というタイトルから想像されるような、イエスの名前はここには出てきません。

すでにこれまでのコラムで見てきたように、ルカの福音書と使徒の働きは二部作の形式をもつ一つの物語です。ですから、ルカ1章1-4節は福音書だけの序文ではなく、使徒の働きも含めたルカ文書全体の序文であると言えます。

それでは、ルカがこの序文で述べている、ルカ文書の全体を貫く中心主題とはいったい何でしょうか?

私はそれは「みことば」であると思います。原文では「ロゴス」というギリシア語が使われていますが、ここでは冠詞付きの単数形(英語で言えば“the word”)が使われており、ある特定のメッセージ、つまり「福音」を表しています。そこにはもちろんイエスの教えやみわざも含まれますが、ルカの関心はそれだけでなく、イエスの働きを引き継いだ教会がどのようにこの福音を宣べ伝えていったか、にもあります。ルカ文書はまさに「みことばの書」「福音の書」ということができるのです。

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<ブログにおける補足>

この序文(ルカ1章1-4節)は、ギリシア語原文では切れ目のない洗練された長い一文で書かれており、作者のルカが高い教養を持った人物であることを伺わせます。バプテスマのヨハネの誕生を物語る5節からは一転して旧約聖書風のヘブライ的文体に変わり、読者を一気に福音書のストーリーに引き込んでいきます。このあたりのルカの文筆家としての手腕はじつに見事です。

さて、コラムでは、ルカ文書全体を貫く統一的なテーマは「みことば(ロゴス)」であると書きました。この「ことば(ロゴス)」は使徒行伝において何度も繰り返し登場する重要なキーワードです。

ペンテコステの日に、使徒たちの代表として立ったペテロは、エルサレムのユダヤ人たちに「イスラエルの人たちよ、今わたしの語ること(ロゴス)を聞きなさい。」と語り、彼らにイエスについての福音を伝えています(使徒2章22節、41節も参照)。エルサレムに誕生した教会がまず行ったのは、神のことば(ロゴス)を宣べ伝えることでした。弟子たちが迫害に直面したときも、彼らは神のことば(ロゴス)を大胆に語ることができるように祈り、聖霊に満たされてそのとおりに行いました(4章29節、31節)。

使徒行伝の中でルカは何度も、どのようにして神のことば(ロゴス)がローマ世界に広まっていったかを語っています。

「こうして神の言(ロゴス)は、ますますひろまり、エルサレムにおける弟子の数が、非常にふえていき、祭司たちも多数、信仰を受けいれるようになった。」(6章7節)

「こうして、主の言(ロゴス)はますます盛んにひろまって行った。」(12章24節)

「こうして、主の御言(ロゴス)はこの地方全体にひろまって行った。」(13章49節)

「このようにして、主の言(ロゴス)はますます盛んにひろまり、また力を増し加えていった。」(19章20節)

使徒行伝ではさらに、ピシデヤのアンテオケでパウロたちのメッセージを聞いた異邦人たちが主のことば(ロゴス)を賛美したとあり(13章48節)、パウロはエペソ教会の長老たちへの最後のメッセージの中で、「今わたしは、主とその恵みの言(ロゴス)とに、あなたがたをゆだねる。御言には、あなたがたの徳をたて、聖別されたすべての人々と共に、御国をつがせる力がある。」(20章32節)と語っています。これらの箇所では、あたかも神のことば(ロゴス)が人格をもった存在であるかのように描かれています。ちょうど福音書においてイエスがエルサレムに向かって旅をしていったように、続編の使徒行伝では神のことば(ロゴス)がエルサレムから出発してローマ帝国中を旅していき、人々にいのちを与えていきます

使徒行伝のストーリーは、パウロがローマに到着するところで終わっています。そこでは「ロゴス」ということばは出てきませんが、パウロが神のことばを帝国の首都で宣べ伝えたところで終わっています。

パウロは、自分の借りた家に満二年のあいだ住んで、たずねて来る人々をみな迎え入れ、はばからず、また妨げられることもなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えつづけた。(使徒28章30-31節)

ローマは神のことばの旅の終着点でもあると同時に、出発点でもあります。世界帝国の首都に伝えられた福音のメッセージは、そこからさらに全世界に向けて発信されていく――そんな希望の余韻を残しつつ、ルカは長大な二部作の筆を置くのです。

(続く)

 

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