先週の26日から9月4日まで、南アのヨハネスブルクで国連主催の「環境・開発サミット」が開かれている。予告したように、今日はこのことに関連して話したい。
神は天地万物を造り、これを愛し、保持して下さる。これが我々の信仰である。創世記の「天地創造」の物語や、先ほど交読した詩編104編、その後で読んだ創世記9,8-17の記事などにはこの信仰が言い表されているし、ローマ書には被造物が「共にうめいている」(8,18-25)という、今日の環境破壊を暗示するような言葉が印象深く記されている。イエスも、空の鳥や野の花といった小さな被造物に深い同情をもって視線を向けている(マタイ6,25以下)。
このように、聖書は本来、地球環境の問題と無関係ではないのだ。それなのに、教会は概して無関心であった。「地を従わせよ」(創世記1,28)の誤った解釈も無関心を助長し、今日の環境破壊を招いたと考えられる。世界のキリスト教会の中に、過去を反省し、環境の問題を自分の事柄として取り組む努力が根を下ろすようになったのは、比較的最近のことだ。今日の説教もその努力の一環として理解して欲しい。
先ず、今回の「環境・開発サミット」に至る経緯を振り返っておきたい。
最初の「国連環境会議」は72年にストックホルムで開かれたが、私は、会議自体よりも、むしろ、同時に発表されたローマ・クラブの報告書『成長の限界』(THE LIMITS TO GROWTH)が全世界に衝撃を与えたという印象を持っている。このチームは、マサチューセッツ工科大学の当時最新鋭のコンピュータを駆使して、人類が直面する危機を分析したのだ。その結果が、歴史上初めて、しかも仮借のない数字で示された。要点だけを紹介すれば、
[1] 世界人口は、とくに第三世界で爆発的に増加する。[2] 一方、食糧生産はそれに追いつかない。[3] 工業化が進むにつれて環境の汚染が加速度的に進む。[4] そして、天然資源は枯渇する、というのである。だから、先進国がこのままのテンポで「大量生産・大量消費」を続ける限り、仮に核戦争がないと仮定しても、21世紀の半ばまでに世界は確実に破局に直面する。
これを受けて20年後、92年には「第二回国連環境会議」がブラジルのリオデジャネイロで開かれた。この時も、ローマ・クラブは『第一次地球革命』(THE FIRST GLOBAL REVOLUTION)という報告書を発表している。それによると、この20年間に状況はさらに深刻になった。ただ、冷戦の終結とか新技術の発明など、望ましい変化も起きているから、人類が英知を集めて事に当たれば破局は回避できるかもしれない。だが、そのためには価値観の転換が必要だ、とこの報告書は書いている。
従来の競争社会では、はっきり言えば「エゴイズム」が原動力になっていた。自分が他者を押しのけて勝つ。自分が他者よりも儲ける。そのために他者を蹴落とす。この競争原理によって経済は動いて行くし、社会も発展すると人々は考えていた。
だが、現在のグローバルな危機の中では、このような「原始的なエゴイズム」は捨てねばならない、と報告書は言う。自分の利益のために相手を蹴落とせば、結局は自分も倒れるのである。例えば水俣では、有機水銀を垂れ流すことによって、工場は短期的にはいくらかコストを節減し、利益を上げることが出来たかもしれないが、その結果豊かな海の水とその中に棲む魚を汚染し、沢山の人の健康と命を奪い、結局は工場も信用を失い、最後は操業停止に追い込まれた。環境破壊という魔物は、自分だけ避けて通ってはくれないのだ。世界は運命共同体である。このような世界の中では原始的なエゴイズムはもはや有効ではない。
地球の将来を考えるならば、人類の産業・経済活動をこれ以上無制限に拡大することは許されず、抑制しなければならない。これは誰が考えても明らかだ。
だが、その抑制の仕方をめぐって、またもや国家や地域のエゴイズムが衝突している。二酸化炭素の排出量を削減するためにまとめられた「京都議定書」をアメリカがボイコットしたのはその一例である。他方、発展途上国からは「貧困を克服するために、我々は今後も開発を加速する」という強い主張が出されている。資源も大いに使う。環境は汚染されるだろうが、これはやむを得ない。元はと言えば、現在の危機はもっぱら先進国が招いたもので、そのツケを第三世界に押しつけるのは先進国のエゴである、というわけだ。
そこで、開発と環境をなんとか両立させることが至上命題となり、92年のリオデジャネイロ会議のとき、「持続可能な開発」(sustainable development)が合言葉になり、それが今回の主題になった。今、ヨハネスブルクでは、開発と環境の両立を目指す「世界実施文書」を作るために、途上国と先進国の間でしのぎを削る協議が重ねられている。途上国側は、先進国による政府開発援助(ODA)をもっと増やせという要求を出し、先進国側がそれを値切るなど、双方のエゴイズムが激突し、妥協が図られるとしても、結局は先進国の主張が通るだろうと言われている。
このことを考えると、エゴイズム脱却を訴えた『第一次地球革命』の結論は、2000年前のイエスの洞察を現代に甦らせたと言えよう。「天の父は、悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」(マタイ5,45)。
会議は踊る。今回の会議にもあまり期待は持てないかもしれない。だが、少なくとも会議に集まったNGOや、世界の良識ある人々の意識は深まるであろう。そしてその意識は、聖書の認識に接近するであろう。「希望によって救われる」(ローマ8,24)!実際、これ以外に道はないのである。
He is a cross pendant.
He is engraved with a unique Number.
He will mail it out from Jerusalem.
He will be sent to your Side.
Emmanuel
Bible Verses About Welcoming ImmigrantsEmbracing the StrangerAs we journey through life, we often encounter individuals who are not of our nationality......
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