キリストは神と等しい方ですか(新共同訳・その他の訳)

　三位一体論者はヨハネ1章1節をその根拠にします。ヨハネ1章1節は次の通りです。「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。」(新共同訳)

　これは，イエス・キリストとして地上に来た「ことば」が全能の神ご自身だったことを意味すると三位一体論者は主張します。また、キリストが神と別の人格的存在であることを認めても、キリストは神と等しいと考える人もいます。

　聖書はどのように述べているでしょうか。他の聖書の翻訳はヨハネ1章1節をどのように訳しているでしょうか。

　1864年、「言葉は，神[agod]であった」ベンジャミン・ウィルソンによるエンファティック・ダイアグロット訳。

　1935年、「言葉は神性を備えていた」。「聖書―アメリカ訳」，J・M・P・スミスとE・J・グッドスピード共訳。

　1946年、「言葉は，神性を備えたものであった」。「新約聖書」，ルートビィヒ・ティンメ訳。

　1950年、「言葉は神[agod]であった」。クリスチャン・ギリシャ語聖書新世界訳。

　1975年、「言葉は，神[agod]（すなわち神性を備えた者）であった」。「ヨハネ福音書」，ジークフリート・シュルツ訳。

　1978年、「ロゴスは，神のような者であった」。「ヨハネ福音書」，ヨハネス・シュナイダー訳。

　それで、いろいろな聖書の翻訳は言葉は「agodであった」「神性を備えていた」「神のような者であった」と訳出しています。

　ですから、多くの聖書翻訳は、キリストが、父なる全能の神とは別の人格的存在であることを認めた訳をしています。　つまり、キリストをひとりの神と言うことができましたが、父なる全能の神と同一であることを認めているわけではありません。また、キリストは神性を備えていましたが、それは全能の神ご自身であるという意味ではありません。

　それは、ヨハネ1章1節の言葉が神と「共にいた」という言い方からも分かります。たとえば、息子が父親と共にいたと言う場合、当然父親と息子は、別の人格的存在です。それは、息子が父親と同じ人物であることを意味しません。

GeorgeGee and son (taken for J.C. Williamson), 23 October 1937, by SamHood　by State Library of New South Wales collection (fatherandson)父と息子が共にいたという場合父と子は別の人格的存在です

　キリストが神と言われていても、決して神と等しい者ではないことは、次のことからも分かります。聖書では，被造物を指して何回か神と呼んでいるからです。

　イエスは人間の裁き人を神と呼んだことがありました。イエスは「あなたたちの律法に、『わたしは言う。あなたたちは神々である』と書いてあるではないか。神の言葉を受けた人たちが、『神々』と言われている。」と言われたことがありました。(ヨハネ10:34,35)　それは詩編82編の、裁き人に対して語られた「あなたがたは神々なのか。」という言葉の引用です。(詩編82:6)

　そこでは、裁きの立場に立つ人間が神々と言われました。しかし、人間の裁き人たちが神々と呼ばれていたとしても、真の神ご自身ではなく、また神と等しい者でもなかったことは明らかです。

Judges- First Appellate Division - May 1923　byLaw Society of Upper Canada Archives(judges)キリストは人間の裁き人たちを神々と呼びましたがそれは彼らが真の神と等しいことを意味しません

　

　また、コリント第二4章4節では、サタンが神と言われています。そこには、「この世の神が、信じようとはしないこの人々の心の目をくらまし、神の似姿であるキリストの栄光に関する福音の光が見えないようにしたのです。」と述べられています。

　サタンが神と言われていても、それは彼が真の神であることを意味してはいません。また彼は全能の神と等しい存在ではありません。それは、単に神のような力のある者であることを述べているに過ぎません。

　ですから、ヨハネ1章1節で、キリストが神であったと述べられているのは、単にキリストが神のような者であった、神性を備えていたということを意味しているに過ぎません。それは、キリストが全能の神そのものであり、等しい方であることを意味してはいません。ヨハネ1章1節を三位一体の根拠として用いることはできません。

　

　また、キリストご自身がご自分が神より下位にあることを認めておられました。キリストは、「父はわたしよりも偉大な方だからである。」と言われたことがありました。(ヨハネ14:28)　また、キリストは、「子は、父のなさることを見なければ、自分からは何事もできない。」と言われました。(ヨハネ5:19)ですから、キリストは父なる神と等しい方でないことを認めておられました。

　また、キリストはたびたび神に祈って助けを祈り求められました。このこともキリストが神を上位とみなして頼っておられたことを示しています。

jesusin Prayer 10　byWaiting For The Word(jesusprayer6)キリストが神に祈られたことは神とキリストが別の存在で神が上位にあることを意味しています

　三位一体説は聖書を間違って解釈しています。私たちはキリストに敬意を払いつつも、真の神ご自身だけを崇拝しましょう。