成熟した人」
ラスベガス日本人教会 砂漠の地ラスベガスから乾いた心に命の水を
今日は、‘成熟した人’について考えてみました。スーパーマーケットで、カートは、4番レジの買い物客の荷物を車まで運ぶようにとの店内放送が聞こえたとき、忙しく倉庫仕事をしていたところでした。彼は、もう少しで作業を終え、外の新鮮な空気を吸いたいと思っていたところだったので、すぐに呼び出しに答えました。彼がチェックアウトのカウンターに近づくと、優しい微笑が彼の目を引きました。それは新しいチェックアウト係りで、とても美しい女性でした。彼女はたぶん年上(26歳くらい、彼は22歳)で、彼は彼女に一目惚れしてしまいました。その日の夕方、仕事を終えた彼は、彼女の名前を知ろうとタイムカードを押す休憩室の入り口で待っていました。すると彼女がそこにやって来て、彼に軽く微笑むと、タイムカードを押し、そこを去って行きました。彼女のタイムカードを見ると名前がブレンダとありました。彼は、彼女の歩く後姿を見るために外に出ました。次の日、仕事が終わると、彼は外で彼女を待ちうけ、家まで送らせて欲しいと願い出ました。彼は害を加える人には見えなかったので、彼女は応じました。彼女を降ろすとき、彼は、控え目に、今度は仕事以外のときに会えるかどうか尋ねました。彼女は間単に、それは無理だと言いました。彼が再度尋ねると、彼女は二人の子供がいて、ベビーシッターを頼む余裕がないからと説明しました。そこで彼がベビーシッター代を払うからと言うと、彼女はしぶしぶ次の土曜日のデートを了解しました。土曜日の夕方、彼がアパートに着くと、彼女はドア越しに、一緒に行けなくなったことを伝えます。理由を聞くと、ベビーシッターから電話があり、急に来れなくなったということでした。カートは躊躇わず、「じゃあ、子供たちも一緒に連れて行こうよ」と言いました。彼女は子供たちを連れて行くことなどできないと言いましたが、彼は上手に彼女を説得し、結局、4人で一緒に行くことにしました。ようやくブレンダは、彼女の子供たちを紹介するために彼を部屋の中に入れました。彼女の上の子は女の子で、カートは、人形のように可愛い子だと思いました。それから、ブレンダは車椅子に乗った下の息子を奥の部屋から連れて来ました。その息子はダウン症で対麻痺として生まれた子でした。カートはブレンダに聞きました。「子供たちが我々と一緒に来れない理由がまだ解からないけど?」 ブレンダは驚きました。ほとんどの男性は、子供が二人もいると聞いたら、ましてや障害を持った子供がいると知ったら、女性から逃げてしまいます。まさに彼女の最初の夫と子供たちの父親がそうでした。その夕方、カートとブレンダは、子供たちを連れて食事と映画に行きました。彼女の息子に何か必要があれば、カートはどんな世話もしました。トイレに行くときも、カートは車椅子から彼を抱え上げて連れて行き、また抱えて戻ってきました。子供たちはカートが大好きになりました。夕方の終わりに、ブレンダは、自分が結婚して、生涯を共に過ごす相手はこの人だと思いました。一年後、彼らは結婚し、カートは彼女の二人の子供たちを養子にしました。そして、彼らにはさらに二人の子供が加えられました。それで、その後、このスーパーの倉庫係りの青年とチェックアウト係りの女の子に何が起こったでしょう?やがてカート・ワーナーはNFLのセントルイス・ラムズとクォーターバックの契約をし、数々の記録を残し、アメリカンフットボールの花形選手として、その歴史に金字塔を打ち立てるのです。結婚カウンセリングをするときに、結婚は相手の負債を引き受ける決心をすることだという話をします。この負債とは、お金の負債はもちろんのこと、相手の弱さ、足りなさ、欠点などのことで、それを自分が引き受ける決断をすること、そこに結婚の重要な意味があるという話をします。カートはブレンダの息子を引き受ける決心をし、それを立派に全うしました。そこに彼の成熟さを見ます。そういう彼の成熟さが、時給5ドル50セントのアルバイト生活からスーパーボウルのMVPにまで駆け上がったシンデレラ・ストーリーのバックボーンになっているような気がします。
今日の一言: 成熟さは豊かな人生の鍵鶴田健次
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