愛に挑戦する作家 チョ・チャンイン 後半

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

弱いけれども強い

 『スンウ 12歳の明日』のテーマは、「人が人を変えることができるのか」であるとチョ・チャンインは明かす。

 十二歳の主人公のスンウ少年は、「丘の町」に住む。「丘の町」とは、立ち退きを要求されているバラック小屋の建ち並んだ貧民街のことだ。母は家を出、父は死んだ。そして八歳の妹までもが余命三か月というあまりにも過酷な状況に、少年は置かれている。

 一方やくざのナルチは、組織から追われ、身を隠すためにスンウの小屋に転がり込む。スンウを召使いのように使うだけではなく、気に入らなければ殴ったり蹴ったりするごろつきだ。

 ある日、スンウは妹ヨンヒの願いを叶えるべく母を捜しに、そしてナルチは組織から逃れるために、その小屋を後にする。

 道中、スンウは幾度となくナルチに殴られ、だまされる。あげくの果てには売られてしまう。そのような状況の中でも、純粋にナルチを信頼し続けるスンウの姿、これこそがこの物語の最大のキーポイントになっている。

 果たしてスンウは母に会えるのか、ナルチは逃げ切れるのか。結論が読めないストーリー展開にはらはらしながらページをめくる。だが、物語は読者を楽しませるだけではなく、「愛すること」と「信じること」について考えさせる。

 あまりにも純粋な心を持ち、先天性の股関節脱臼によって足を引きずって歩くスンウは、精神的にも肉体的にもとても弱い存在に見える。そして、スンウの「純粋」さは、ナルチの「悪」によって、またはあまりにも過酷な環境によって挑戦を受ける。だが、彼は弱そうであっても決して「悪」に負けたりはしない。むしろその純粋さは、挑戦によって強くなっていく。そして、ナルチの「悪」もそのスンウの姿によって変えられていくのだ。

 ナルチは、ヤクザだから「悪」なのではない。著者は物質主義の世の中に絶望した現代人を、彼に重ねたと言う。そしてスンウはイエス・キリスト、もしくはキリストに似たものとして変えられたクリスチャンを象徴している。

 この世の中で、きよさや純粋さを求めて生きることは、あまりにも無防備で、要領もかっこうも悪く思えることがある。純粋に人を信じて生きることに多くの人が憧れていながらも、それができないのは、やはり傷つくことに恐れがあるからだろう。

 人生の道の多くの場合がそうであるように、この物語もけっしてハッピーエンドでは終わらない。しかし、いままで自分のためにスンウを利用していたナルチが、自らを犠牲にする道を選ぶこの姿は、きよさと純粋さを求めて生きることを願う人へ勇気と希望を与えてくれる。傷つくことを恐れずに人を愛し信じたときに、「奇跡」が起こるのだ。

聖書は人を変える

 ナルチが変えられたように、著者チョ・チャンインがキリストの愛によって変えられたのは十四年前のこと、三十三歳の時だった。新聞記者をしていた彼は、事件に巻き込まれ、誤解を受け、無実であるにもかかわらず三か月間拘置所に拘留されていた。

 そこで出会ったのが、聖書を読み、悔い改めるヤクザの姿だった。聖書を通してイエス・キリストと出会い、涙を流すヤクザの姿は衝撃的だった。それをきっかけにヤクザの心を変えた聖書とは何か、イエスとは何かと疑問を持ち、聖書を読み始めた。すべてを読み終えた時、そこに書かれていることが本物だと思った。それまでは文学を読むための資料や西洋思想の一つとして聖書をとらえていた。だが、今は一つの思想で終わることはなく「人を変える」書物であると確信している。

 彼は高校生のころから作家になることを夢見ていた。当時はドストエフスキーや三島由紀夫の作品を好み、今はスティーブン・キングや村上春樹、浅田次郎の作風に興味を持っているという。作家になるために大学院で学んだものの、結婚し子どもができ、その夢をあきらめていたチョ・チャンインが小説家になるという夢を取り戻したのは、クリスチャンになったからだ。

 「聖書には、人は新しく生まれ変わると書いてあります。私もクリスチャンになった時に、新しく生まれ変わりました。その時に、夢を取り戻そうと決心したのです」。

 しかし、作家の道に歩んでも、『カシコギ』以前に出した二つの作品の結果は惨憺たるもので、自分の才能の限界を痛感した。二〇〇〇年の大ヒット作品『カシコギ』を世の中に送り出すまでは、約十年のあいだ、苦しい時代を過ごした。自分の夢を追い続けるのか、妻と子を養う父親としての役割を担うべきか、葛藤の日々を送っていた。

 「苦しむ家族を見るたびに、書き続けるべきかどうかとの疑問に苦しめられました」。その中でチョ・チャンインを支えたのは同じころクリスチャンになった妻だった。もし、夫が夢をあきらめたら、その時の絶望はとてつもなく大きいと感じていた妻は、精神的にも経済的にも夫を支援してきた。「妻は、私に十年間奉仕してくれました。だから今、は私が彼女に奉仕をする番です」。現在、彼女はアメリカの大学でクリスチャンカウンセリングを学んでいる。

 妻と息子をアメリカにやり、チョ氏は三人の作家とソウルから電車に乗って約二時間ほどのところで共同生活をしている。小説のために新しい素材を見つけだし、より鋭い感性を磨くために定期的に環境を変える。六月にはまた引っ越すのだと言う。新たな作品を生み出すために。

魂を愛する

 『スンウ 12歳の明日』を書き終え、「人は人を変えることができる」と著者は言う。その確信には「人を愛する」ことが前提としてある。著者は読者と自分自身に、愛するに価しないナルチを、スンウのように愛することができるのか、と問いかけているのだ。

 チョ・チャンインは「この物語を書いて、自分が一番変えられました」「人の魂を愛する思いが与えられました」と言う。これからも、神に愛された者として「人を愛する」とはどういうことなのかを、彼は追求していく。そこには読者に愛を運ぶ作家としてだけではなく、自らの愛の限界に挑戦し続けるひとりの信仰者としての姿も見ることができるのではないだろうか。

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