文学ジャンル別聖書の読み方ガイド 第9回 「使徒の働き」の解釈 (上)

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

関野祐二
聖契神学校校長

● 初代教会へ帰れ?

 新約聖書「使徒の働き」とはどのような書物でしょうか。主イエスの復活と昇天後、福音を託された主の弟子たちが、ペンテコステに降った聖霊の力強い導きで主の復活を宣べ伝え、初代教会が形成された後、異邦人への使徒に選ばれたパウロが、ユダヤ人からの迫害を受けながらも各地に異邦人教会を形成しつつ、地中海世界全体へと主のみことばを運ぶ歴史物語。

 もしそれだけなら、「使徒の働き」の解釈は旧約物語文と大同小異で、贖罪史の最終段階(アブラハム契約に始まり、主イエスの十字架と復活で先取りされた神の国支配の、異邦人への拡大)を証しする文書となるでしょうし、改めて解釈法を学ぶ特異性はないのかもしれません。

 その一方で、「使徒の働き」を読む福音的プロテスタント教会はこれを、「初代教会へ帰れ」との復古運動のテキストとして扱う傾向が強いのも事実。すなわち、あらゆる時代の教会にとって、「使徒の働き」に描かれた教会こそが立ち戻るべき理想的標準モデルであり、そこに記録された出来事は今日も同じことが起こる(起こるべき)「歴史的先例」(historical precedent)であると考えるのです(例えば、私的財産の共有や聖霊の段階的賦与など)。

 そうなると、私たちがこの書を読む際には、「『使徒の働き』は我々に~と明白に教えている」といった、字義的解釈と直接的適用が基本となるでしょう。しかしこれは、「使徒の働き」の特殊性や本来の意図を無視した読み方と言わざるを得ません。

●「使徒の働き」の性格

 文書としての「使徒の働き」の特徴、それは何といっても著者ルカが聖書記者中唯一の異邦人(ギリシヤ人)であり、ギリシヤ的歴史編集(Hellenistic historiography)の手法を用いていること。これはヘレニズム時代に全盛期を迎えた歴史文献の一種で、単に史実を記録するのではなく、読者を励まし楽しませるとともに、史実を知らせ、教化し、弁証するための手法。読んでおもしろく、しかもためになる歴史書ということでしょうか。

 さらにルカは旧約物語文を熟知したキリスト者、霊感された聖書記者ですから、歴史物語を超えた神の贖罪史(トップレベル)の流れの中に初期キリスト教物語を定位させている点も見逃せません。彼にしてみれば、主イエスとともに始まり、教会における聖霊の活動を通して続く神のみわざとは、旧約聖書に始まる神の物語の継続なのです。

 となると、私たち読者の関心は、「その時何が起こったのか」だけでなく、「このように記事を取捨選択し配列した著者ルカの意図は何なのか」にも向けられることとなります。これは神学的な問いですし、当然ながら、「使徒の働き」所収の出来事に歴史的先例や今日的規範の意味合いがあるか否かにも決定的影響を及ぼします。ところが、この「ルカの意図」を見いだすのが容易ではないのです。

●「使徒の働き」の概観

 「使徒の働き」は、ペテロ(一―一二章)とパウロ(一三―二八章)の二大使徒による働き、あるいは一・八のみことばを起点とした、エルサレム(一―七章)、ユダヤとサマリヤ(八―一○章)、地の果て(一一―二八章)という、福音の地理的拡張記録と読むのが一般的。ここでは、著者ルカに特徴的なまとめのことばによる区分を紹介しましょう。それは六・七、九・三一、一二・二四、一六・四、一九・二○に現れる、みことばの拡大と信者の増加を伝えるフレーズ。場面が変わる直前に文脈が総括され、さらなる福音の進展へとステップアップするのです。

 エルサレムに始まり首都ローマへと向かう聖霊による「前進運動」(ムーブメント)は、次のような六つのセクションで構成されています。一・一―六・七
エルサレム原始教会の姿六・八―九・三一
ステパノ殉教による福音の最初の拡張九・三二―一二・二四
異邦人への最初の宣教一二・二五―一六・五
異邦人世界への最初の地理的宣教拡大一六・六―一九・二○
ヨーロッパへの宣教拡大一九・二一―二八・三○
 パウロと福音がローマに至る

● 著者ルカの目的(消極面)

 ルカが、聖霊によって動機づけられた福音運動を、エルサレムの使徒たちから世界大の異邦人教会への拡張として描く際、あえて語らなかった要素に注目するのも興味深いでしょう。

 彼は使徒たちの伝記を書かず、教会制度や教会政治にもあまり関心を置きません。エルサレムからローマに至る一直線以外に、福音の地理的拡大については沈黙しています(例えば、Ⅰペテロの背景となる地域など)。

 起こった出来事を標準化し、統一性を持たせ、いつでもどこでも同じことが同じパターンで起こるべきとは考えていないようです(例えば、個人的回心に伴う奇蹟的現象の有無、按手や悔い改めの記録や順序など)。

 ルカは模範や規範となる教会の詳細を描くことよりも、全体像として、神が建設された教会という信仰共同体の堅固さと生命力を証しするのです。

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