新約聖書よもやま裏話 第17回 パウロの郵便局 古代の郵便事情

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

伊藤明生
東京基督教大学教授

 子どものころの愛読書のひとつに、ヒュー・ロフティングのドリトル先生シリーズがある。

 主人公のドリトル先生はオウムから動物の言葉を教わり、動物と話せる獣医! シリーズのひとつ『ドリトル先生の郵便局』(岩波書店)に、とあるアフリカの王様が、欧米諸国を真似て郵便制度を導入するシーンが登場する。

 ところが、郵便ポストはみんなの郵便でいっぱいになり、届くはず(?)の郵便が届かないために多方面で支障をきたすようになった。そこで、動物たちの助けを得てドリトル先生が活躍して……。どうやら、王様が、郵便ポストを魔法の箱と勘違いしていたらしい。そのために生じた騒動だった。

 小さな子どもならいざ知らず、そんな誤解をしている人は今どきいないと思う。

 それにしても、郵便は確かに便利な制度である。郵便を集配する多くの人々、つまり郵政公社の職員の労働に依存しているには違いないが、切手さえ貼れば、住所に書いた宛名までだれかがいつの間に届けてくれる。大きな荷物でもなければ、比較的安価な郵便代金で、全世界どこへでもだいたい郵送してもらえる。

 もちろん昨今は郵便よりも便利で安価なファックスやEメールがある。科学技術の日進月歩で、生活の中の様々なものが様変わりしていく。世界の変化に追いついていくのは、いい歳のおじさんには一苦労だ。

切手を貼って……?

 ところで、新約聖書の時代には、現代のような郵便制度はまだ完備していなかった。というか、今で言う官公庁用の「郵便制度」は、ローマ帝国などが統治の手段として整備してはいたが、一般庶民が自由に利用できるものではなかったのだ。

 新約聖書の「パウロの手紙」といっても、それはパウロが、切手を貼って郵便ポストに投函したのではなかった。自らの手紙を配達する人に託したり、たまたまその方面に出かける人にお願いして届けてもらったりする必要があった。

 たとえば、ローマ人への手紙の場合には、配達人はケンクレアの執事フィベ、第一コリントはテモテ、ピリピ人への手紙ではエパフロデト、エペソ人への手紙とコロサイ人への手紙を運んだのはテキコであったようだ。

口述筆記

 それだけではない。手紙を書くには、口述筆記者も必要であった。ローマ人への手紙は、パウロが言ったことを、テルテオが筆記している(ローマ一六・二二)。「テルテオ」とは第三を意味するラテン語である(日本名にすれば「三郎」か)。名前から想像するに、奴隷の身分であったと思われるが、速記などに熟練していたのであろう。

 名前は明記されていないが、ほとんどの場合、手紙は口述筆記された。手紙の終わりに、パウロが直筆であいさつを書く旨が書き留められている(第一コリント、ガラテヤ、コロサイ、第二テサロニケ)ことから、口述筆記者が手紙の本体を筆記し、最後にパウロがあいさつを書いたと思われる。ピレモンへの手紙は全部パウロが書いたと明記されている。

 そのほかに、口述筆記者や配達人だけではなく、手紙を朗読する人も大切な存在である。コロサイ書と第一テサロニケでは、礼拝などの教会の集会で朗読されることをパウロは求めている。その場合、手紙を宛先の教会まで配達した人自身が、手紙を朗読した可能性が高い。正確に朗読するには、それなりの訓練を要した(連載第三回「古代読書の習慣」参照)。

 さらには、手紙の内容について疑問が提示されたり、質問が出されたりした場合には、配達人で朗読者であったパウロの「腹心」が補足説明したことだろう。

 共同差出人とか共同執筆者とも言うべき不思議な存在にも言及されている。「パウロの手紙」と呼ばれているからといっても、パウロが自らペンを取って書いたとは限らないのだ。

パウロチーム

 共同差出人については、パウロが筆頭差出人ではあっても、ほかの者が名を連ねている場合が多々ある。ソステネ、テモテ、シルワノが差出人として名前が挙げられている。手紙の末尾にあいさつを送っている者として言及がある人とも別である。パウロと同じようにではないにしても、差出人・執筆者として手紙の内容に責任を負っていることが示唆されている。

 リーダーとしてパウロがいて、手紙の共同執筆者・差出人とも言うべきパウロの腹心がいた。より具体的な働き人として、賜物を生かして口述筆記をしたり、手紙を配達したり、朗読したりする者も重要であった。

 このように、「パウロの手紙」をめぐって様々な人のかかわりを見てみると、多少なりともパウロの働き方が見えてきた。パウロはけっして「一匹狼」ではなかった。基本的にはチームで宣教に従事していたのである。

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