文学ジャンル別聖書の読み方ガイド 第22回 詩篇の解釈 (上)

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

関野祐二
聖契神学校校長

 聖書六十六巻は誤りなき神のことばですが、すべてそれは「神から人へ」のことばにより成り立っているのでしょうか。実はそこに、「人が神に」向けて語ったことばも含まれているのです。その代表的書物が聖書で最も愛読されている「詩篇」。他のほとんどの書は「私たちに」語りかけますが、詩篇は神の恵みやさばきに対する私たちの応答を記録することで、「私たちのために」語り、どのように祈るべきかを教えてくれます。

● 詩篇とは

 詩篇は基本的に祈りであり賛美。ですから神に向けて語り、神についての真理を歌います。では、「神に対して」語られたことばが、どのようにして「私たちに対する」神からのみことばとして機能するのか。

 詩篇の目的、それは正しい教理や行いを教えることよりむしろ、私たち自身を神に言い表す助けを提供することです。喜びや悲しみ、成功や失敗、希望や失望を神にどう表現したらいいのか知りたければ、詩篇を開きましょう。このように主を賛美しなさい、こういうことばで主に祈りなさいと、主ご自身が詩人のことばを通してガイドラインを提供しているのですね。

 ただし、詩篇にはだれもが共感を覚える詩篇二三篇のようなものばかりでなく、ネガティブな内容で終始する詩篇八八篇や、敵を呪う詩篇一三七篇などもありますから(そうした詩篇のほうが共感しやすい?)、正しく用いるには準備が必要です。

● 詩としての詩篇
○ 字義よりも感情表現

 ヘブル詩としての詩篇は用語が情感豊かで技巧に富んでいますから、ことばひとつひとつの意味を厳密に調べようとすると、かえって真意からはずれます。たとえば詩篇一九・一「天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる」に用いられている並行法は、同義語並行法と呼ばれるタイプで、二行目が一行目の意味を反復し、補強します。二行まとめてひとつの意味を伝えていますから、「天」と「大空」の違いを追求したところで、さしたる収穫はありません。

 詩篇は音楽詩。計画的体系的な教理や思想よりも感情を表現しており、霊的感性を呼び覚まし、個々人の神への応答を刺激することが意図されています。たとえば、「ああ、私は咎ある者として生まれ、罪ある者として母は私をみごもりました」(詩篇五一・五)。ここから、私たちが生まれながらに罪人であるとの原罪の教理を引き出すのには無理があります。詩人は、自分が罪人であることを強力に、しかも生き生きと神に言い表すため、誇張表現を用いているからです。もし表題のように、ダビデがあのバテ・シェバとの姦*の罪を預言者ナタンに指摘された時の悔い改めの詩篇だとしたら、よくわかりますね。

○ 比喩は比喩として

 詩篇のことばには比喩が満ちています。「山々は雄羊のように、丘は子羊のように、はねた」(詩篇一一四・四)、これを文字通り読んだらたいへんですが、背景には出エジプト一九・一六―二五の、シナイ山における神臨在の描写がありますから、神の民を中心とする全世界が主なる神を畏れ敬うように、との祈りでしょう。また詩篇では、神が羊飼い、とりで、盾、岩などいろいろな事物にたとえられ、その慈しみ深さや堅固な様を告白します。おそらくこうした比喩は、文字で読むよりも耳で聞いて、その意図するところを把握したほうが正確に理解できるはずです。

 比喩を字義的に理解しようとしたり、逆にすべてを比喩的に読み過ぎないよう注意しましょう。言うまでもなく詩篇二三篇は、私たちが羊と同じように生き、行動することや、いなかの牧歌的生活を奨励しているのではありません。一般書ですが、佐藤信夫著『レトリック感覚』(講談社学術文庫)は、比喩表現全般について学ぶための好著です。

● 文学としての詩篇

 音楽詩として、詩篇には一定の文学的特徴を共有する文学様式があります。まず詩篇は各々異なった様式構造を持つ「型」(type)から成っており、その区別はたいへん重要です。詳しくは次回に譲りますが、たとえば「哀歌」(嘆きの詩篇)は、個人や共同体が嘆きを主の前に表現し、助けを求める歌。また「感謝の詩篇」では、神が示されたあわれみへの喜びが表現されています。「王の詩篇」はイスラエル王の即位式の歌。今自分が読もうとしている詩篇の型は何なのかを問う必要がありますね。

 また、詩人たちはことばや音声のアレンジと反復、ことばの遊びを楽しみました。その最たるものは、詩篇一一九篇の「いろは歌」でしょう。これはヘブル語アルファベット二十二文字各々で始まる、各八節の詩から成っているのです(だから全部で一七六節あり)。加えて各節に律法を表すことばが組み込まれているのですから、脱帽ですね(一節だけ故意の例外あり。探してみましょう)。

 個々の詩篇は、ひとつの文学単位として統一的に読む必要があります。一節ずつに分割してしまうと、思想の発展や結論に至る流れ、そして全体のバランスが壊れるからです。その詩篇自身の光の中にとどまってこそ、個々の節は真の輝きを放ってくれるでしょう。

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