二人の女性の物語

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

先日アメリカから一時帰国していた中村佐知さんが聖契神学校に来てくださり、関野校長、吉川直美先生と4人でとても素晴らしい交わりを持つことができました。その際に、この度出版された『隣に座って』を恵贈いただきました。この本は、2016年にスキルス胃がんで亡くなった娘のミホさんとの最後の日々を、当時のブログやフェイスブックの記事をもとに綴ったものです。

 

私はミホさんのがんが発見される前から佐知さんのブログの読者でしたし、個人的にも知り合いでしたので、彼女の闘病と召天についてはリアルタイムで中村家のみなさんの旅路について知り、祈る特権を与えられました。本書のページを繰るごとに、その時の思いがよみがえってきました。

特に第2章「闘病」の最後の部分。久しぶりに家族が揃うのを待ち望む3月3日付のエントリーの次に、3月6日の日付がついた、ミホさんが前日に帰天したことを短く報告する最後のエントリーが来ます。空白の3日間が持つはかり知れない重みに胸が締め付けられます。(この後の第3章に、その間のできごとが「最後の三十時間」の記録として克明に記されています。)

読み終えて改めて心に残ったのは、ミホさんが最後まで周囲の人々の愛に囲まれ、また人々への愛を示し続けた姿です。

二十一歳のうら若い女性を襲ったがんという不条理な現実に直面して、私たちは「なぜ?」と問いかけます。けれども最終的な答えは与えられません。大切なことは、答えを見つけることではなく、すべてを理解することでもなく、不条理な現実の中でもなお愛し続けることができるか、ということなのかも知れない――そんなことを思わされました。

そして、そのような現実の中で、神の側でも変わらぬ愛を注いでくださっていることを、ミホさんは、そして佐知さんや家族は体験したのだと思います。著者の「あとがき」にも書かれている通り、ミホさんの隣には、母親の佐知さんだけでなく、もうひとり、目に見えないお方も座っていたに違いありません。そして、愛する娘を天に送った後、地上に残された母の隣にも、その方は座っていてくださるのでしょう。

ミホさんは最期に “I love you.” の言葉を残して、家族に看取られながら地上を去っていきました。死を越えてもなお残るのは愛のわざです(1コリント15:58)。最後に愛は勝ちます。神の愛を信じ、愛することを選び続けること――私の周りでも現在何人もの方々が重い病を患っておられますが、混沌とした世界の中で、希望はここにしかないのではないかと思わされます。

けれどもその道は決して平坦なものではなかったようです。本書には、日々変化するミホさんの病状に応じて家族が体験した感情の起伏や信仰の葛藤が生々しく記されています。それはこの場で簡単に要約できるものではありませんし、分かりやすい「霊的原則」に還元できるものでもありません。それは解釈を求める一つの物語であり、巡礼の記録なのだと思います。人が通る道はどれ一つとして同じものはありません。けれども同じ目的地に向かって歩む中で、それぞれ固有の苦難を通る時に励ましを与えてくれる――そんな物語です。

本書の中にはミホさんや周囲の人々のモノクロ写真が随所に掲載されていますが、最後のページにだけ、元気だった頃のミホさんの写真がカラーで収められていて、雲間から光が差しこんだかのような気になります。まるで、私たちが今生きているこの地上の生活は移ろいゆく影ようなものであって、やがて訪れる新しい天地における復活のいのちこそが、本来あるべきリアルな生活であることを告げるかのように――

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ミホさんの召天について思い巡らしていた時、今年亡くなったもうひとりの若い女性のことを思い起こしました。つい最近になってレイチェル・ヘルド・エヴァンズの葬儀の動画があることを知って視聴しましたが、改めて彼女の早すぎる死が惜しまれました。

葬儀の中では、レイチェルの思い出が語られ、聖書が朗読された後、ナディア・ボルツ=ウェバーがヨハネの福音書から感動的な説教を行いました(下の動画で50分あたりから始まります)。

1  さて、一週の初めの日に、朝早くまだ暗いうちに、マグダラのマリヤが墓に行くと、墓から石がとりのけてあるのを見た。2  そこで走って、シモン・ペテロとイエスが愛しておられた、もうひとりの弟子のところへ行って、彼らに言った、「だれかが、主を墓から取り去りました。どこへ置いたのか、わかりません」。3  そこでペテロともうひとりの弟子は出かけて、墓へむかって行った。4  ふたりは一緒に走り出したが、そのもうひとりの弟子の方が、ペテロよりも早く走って先に墓に着き、5  そして身をかがめてみると、亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、中へははいらなかった。6  シモン・ペテロも続いてきて、墓の中にはいった。彼は亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、7  イエスの頭に巻いてあった布は亜麻布のそばにはなくて、はなれた別の場所にくるめてあった。8  すると、先に墓に着いたもうひとりの弟子もはいってきて、これを見て信じた。9  しかし、彼らは死人のうちからイエスがよみがえるべきことをしるした聖句を、まだ悟っていなかった。10  それから、ふたりの弟子たちは自分の家に帰って行った。

11  しかし、マリヤは墓の外に立って泣いていた。そして泣きながら、身をかがめて墓の中をのぞくと、12  白い衣を着たふたりの御使が、イエスの死体のおかれていた場所に、ひとりは頭の方に、ひとりは足の方に、すわっているのを見た。13  すると、彼らはマリヤに、「女よ、なぜ泣いているのか」と言った。マリヤは彼らに言った、「だれかが、わたしの主を取り去りました。そして、どこに置いたのか、わからないのです」。14  そう言って、うしろをふり向くと、そこにイエスが立っておられるのを見た。しかし、それがイエスであることに気がつかなかった。15  イエスは女に言われた、「女よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか」。マリヤは、その人が園の番人だと思って言った、「もしあなたが、あのかたを移したのでしたら、どこへ置いたのか、どうぞ、おっしゃって下さい。わたしがそのかたを引き取ります」。16  イエスは彼女に「マリヤよ」と言われた。マリヤはふり返って、イエスにむかってヘブル語で「ラボニ」と言った。それは、先生という意味である。17  イエスは彼女に言われた、「わたしにさわってはいけない。わたしは、まだ父のみもとに上っていないのだから。ただ、わたしの兄弟たちの所に行って、『わたしは、わたしの父またあなたがたの父であって、わたしの神またあなたがたの神であられるかたのみもとへ上って行く』と、彼らに伝えなさい」。18  マグダラのマリヤは弟子たちのところに行って、自分が主に会ったこと、またイエスがこれこれのことを自分に仰せになったことを、報告した。
(ヨハネ20:1-18)

ボルツ=ウェバーは、嘆き悲しむことは聖なる行為であると言います。私たちの神は友の墓の前に立って、私たちと同じ塩辛い涙を流してくださる方だからだと。そして嘆きは愛したことに対して私たちが払う代価だからだと。また天使とイエスがマグダラのマリアに語りかける「女よ、なぜ泣いているのか」という言葉は、彼女の不信仰を咎める言葉ではなく、嘆きへの招きであると言います。

説教の中で何度も「まだ暗いうちに」というフレーズが繰り返されていたのが印象に残りました(後からネット上で説教原稿を見つけると、これがまさにタイトルでした)。マリアが復活の最初の証人として選ばれたのは、(7つの悪霊を追い出していただいたという)彼女は神がまだ暗いうちに働かれることを知っていたからだ、と言うのです。

マルコ福音書では復活の朝、女性たちが墓に来たのは「早朝、日の出の頃」と記されていますが(マルコ16:2)、ヨハネは「まだ暗いうちに」マリアが墓に来たといいます(ヨハネ20:1)。ヨハネはユダがイエスを裏切って出ていった時も「夜」であったと記しています(ヨハネ13:30)が、ここでも象徴的な意味が込められているように思います。イエスの復活は日曜日の朝、まだ暗いうちに起こりました。世界はまだ闇に覆われています。マリアはまだ悲しみに暮れて泣いています。けれどもその瞬間にも、光の差さない穴蔵のような墓の中では神の物語――それはレイチェルの物語でもあり、ミホさんの物語でもあり、私たち一人ひとりの物語でもあります――はひそやかに進行しており、最後の言葉を握っているのは死ではないことが告げられます。

その知らせを最初に聴くのは、まだ暗いうちに泣きながら墓に来た人々なのかも知れません。

 

 

 

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