「地には平和」

ここで引用される聖書の著作権は日本聖書協会に属します

イエス・キリストの誕生の物語を、ルカによる福音書によって語りたい。

最初に「皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た」と言われている。古来、どの国の支配者も正確な人口や人々の暮らしぶりを調べたがる。2000年前のローマ皇帝アウグストゥスも同様で、「住民登録」の勅令を出した。もちろん、人民の利益のためにという親切心からではなく、少しでも多く税金を取り立てるためである。江戸時代、徳川幕府は百姓から少しでも余計に絞り取るために数度にわたって耕地面積を調べたが(検地)、それと発想は同じだ。今年わが国では「住民基本台帳ネットワーク」なるものが多くの反対を押し切って始まった。これも国民の情報を一元的に管理しようという支配者の発想から出ている。

さて次に、「人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである」(3-5)と書いてある。ヨセフも、本籍地ベツレヘムで登録するために、お腹に臨月の子を抱えた許婚の妻マリアと一緒に出発した。現住所のナザレからベツレヘムまでは、地図で見ると大体100kmぐらいある。もう直き恒例の「箱根駅伝」が行われるが、東京から箱根までの片道がその位ではないか。走るわけではないけれども、身重の妻を連れて歩いて行くのに楽な距離ではない。

それに、ヨセフは大工だった。その間は仕事を休まなければならない。職人にとってはずいぶん迷惑な話だが、皇帝の命令には逆らえない。マリアを気遣いながらとぼとぼ歩いた。何日かかったのだろうか。汗と埃にまみれてベツレヘムにたどり着いた。このように、イエスは支配者に苦しめられている民衆の子として生まれたのだ。

さらに、ナザレベツレヘムという地名に注目したい。最近のニュースにこれらの地名がよく登場することにお気づきの方もあるだろう。イスラエル軍が戦車で侵攻したり、PLO側が自爆テロを行ったりする泥沼のような紛争地域にある町である。戦闘で一番苦しむのは常に貧しい一般民衆であり、特にお年寄りや子供、病人や障害者など弱い立場にいる人々である。今に始まったことではない。イエスが生まれた頃から、ナザレもベツレヘムも正直に働く貧しい人々の汗と涙がしみついた土地であり、彼らの無告の血が流された土地である。イエスの両親は、そのナザレから出発して、さまざまな心配事を抱えながらベツレヘムへ歩いて行ったのだ。

「ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである」(6-7)。宿屋は登録のためにやって来た貧しい民衆で満室だった。そこで、馬小屋のような所に休ませてもらったのではないか。つまり、両親はこの時「ホームレス」の状態であった。その夜半に、マリアは産気づいて男の子を出産した。旅先のことで十分な支度もないので、生まれた赤ん坊はボロ布にくるんで飼い葉桶の中に寝かせた。どんなに貧しくても、せめて初めて生まれてくる子供には清潔な産着を着せて、暖かい布団に寝かせたかったであろうに!

ここで物語の場面は一転する。「その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた」(8)。羊飼いというのは、先程の教会学校生徒による「聖誕劇」の中ではとても愛らしかったが、実際は「可愛らしい」なんてものではない。定住している人からは「住所不定のいかがわしい人間」と見られていた。服装も汚れているし、いやな匂いもする。だから、一般社会から偏見をもって見られ、疎外されていた。要するに、当時のユダヤでは余り好かれない人々だった。その上、羊は生き物だから、狼に食われたり病気になって死んだりすることもある。安定した職業とは言えない。真っ暗な夜、寒さに震えながら野宿をしていたこれら羊飼いたちの心の中は、どうだったろう? だから、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたとき、「彼らは非常に恐れた」(9)というのも無理はない。

だが、天使たちは他の誰でもなく、真っ先にこれらの羊飼いたちのところへ現われた、とルカは言っている。天使はこう言ったというのである。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった」(10-11)。

あなたがたのために! もちろん、それは民全体のためでもある。だが、具体的な一人一人のことを抜きにした抽象的な「全体」のため、というのではない。疎外され、孤独な、それ故に毎日の暮らしのことでも不安や心配を山ほど抱え、苦労して生きている羊飼いの一人一人に向かって、今日、「あなたのために」、そして「あなたのためにも」救い主がお生まれになったと言ったのである。

あなたは見捨てられてはいない。あなたのために救い主が生まれた。その救い主は、羊飼いたちと同じように社会の最底辺に生まれて、彼らと同じようにあらゆる苦しみを嘗め、最後は十字架に架けられて30年の一生を終わった方である。その苦しみの中で、「どんなに苦しいときにも、神が共にいて下さる」(インマヌエル)という真理を証しした方である。その救い主が、あなたのために生まれた。だから、「恐れるな!」

その時、神を賛美する大きな歌声が天に響いた。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」(14)。これこそがイエス・キリストの誕生の物語である。そして、天使たちの「地には平和!」という歌こそがクリスマスの歌であり、我々の祈りであり、そして我々の努力の目標なのである。

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