自分の存在と感覚だけが真実で重要ですか

　ある人は、自分が今存在していることと、感じていることだけが真実であると考え、それだけを大切にします。また、自分が見ているものや、聞こえるものでさえ、本当に存在しているとは言い切れないとさえ言います。その感覚だけがあって、目に見えている物が、本当は存在しないのかもしれないと言います。

　そのように考えることは正しいでしょうか。確かに、私たちは幻覚を見ることがあります。ですから、本当は存在していない物を見ることがあります。   しかし、私たちは、視覚だけでなく聴覚や触角を持っています。ですから、さまざまな手段を用いて私たちは、自分以外に他者が存在しており、あらゆる物で満ちた世界に私たちが生きていることが分かります。

　しかし、もし、そのように確認することをせず、目に見えている物を否定し、自分の感じていることだけを過大に重要だと考えるならば、私たちは、非常に利己的になる可能性があります。自分の感覚だけを大事にすることになるからです。また、自分以外の他の存在を否定したり、他者の考えを軽んずることになります。

  聖書は他の人を自分自身と同じように愛するようにと勧めています。(マルコ12:31)しかし、もし、自分の感覚だけを真実と考え信頼するならば、自分の欲望だけを重要視して、利己的になることになるでしょう。

　しかし、私たちの世界は、もちろん、自分だけが存在しているのでも、自分の感覚だけが重要なのでもありません。私たちが存在しているのと同様に、私たちの他にも同じように感じたり考えたりする知的な被造物が存在しています。

　そのような他者の存在を否定し、自分の感覚のみを重要視するのは、赤ん坊と一緒です。赤ん坊は、最初は自分の感覚だけしか分からないでしょう。赤ん坊は最初に、自分以外に父親と母親がいることを学びます。

Baby,Baby by kb_vaidya (baby6)赤ちゃんは自分の感覚しか分かりませんが母親がいることが分かっていきます　そして、大きくなって学校に行って自分がどんな世界に住んでいるかを学んでいきます。そして、自分の感覚や考えが重要であるのと同じように、他の人の感覚と考えも重要であることを学んでいきます。

Studentswith a disability take part in The Inclusive Education (TIE) pilotprogram at Ngele'ia Primary School in Nuku'alofa, Tonga.　byDFAT photo library (school)子供は学校に行って徐々に自分の周りの世界について学んでいきます

　しかし、自分の感覚だけを真実と考え重要視する人は、赤ん坊に逆行しています。また、そのように考えることは、人類が長い間蓄積してきた科学も否定することになります。

　　確かに科学はいろんな仮説を否定することから始まります。しかし、私たちは原因があるなら結果があるということの原理を否定することはできません。科学は、その原理に基づいて、私たちの周囲にある者の存在や性質を確かめていきます。

そのために、科学は、視覚や聴覚や触角だけでなく、顕微鏡や望遠鏡やその他の最新技術を用います。それで、確かに科学は、私たちが目にすることができないものでさえ、存在していることを証明します。

　例えば空気は見えませんが、存在しています。細菌もそうです。私たちは細菌の存在を目で見て確認することもできませんし、重力も目には見えませんが、科学はその存在を証明します。

　顕微鏡を用いると細菌の存在が分かります。私たちの目には見えなくても細菌が存在していることが分かります。

[Womanusing microscope, St. Luke's Hospital, U.S. Industrial AlcoholCompany]

bySMU Central University Libraries (microscope2)顕微鏡を使うと人の目に見えない細菌が存在していることが分かります

　望遠鏡を使うと、宇宙に肉眼で見ることのできない、数多くの星があることが分かります。それらの、星は、私たちが目にすることのできる太陽よりも、もっと巨大です。ですから、科学的な知識を取り入れると私たち個人は、大変微細な存在であることが分かります。私たち個人の重要性は小さくなっていきます。(詩編8:3,4)

RobertC. Byrd Green Bank Telescope at the National Radio　Astronomy　Observatory (NRAO), Green Bank, West Virginia by　jiuguangw　(telescope1)望遠鏡を使うと私たちの目に見えない星が存在することが分かります

　しかし、自分の感覚だけを重要視して、空気や細菌や重力の存在を否定するのは、科学の発達していなかった古代人と同じになってしまいます。ですから、自分が感じられる物だけを信じたり、それを重要視する人は、愚かであり、真理と調和もしていません。

　

　聖書も私たちの目には見えなくても存在しているものを明らかにしています。その一つは神やみ使い、悪霊などの霊者の存在です。(ヨハネ4:24。詩編104:4。ルカ4:33。ヨブ1:6。マルコ1:13)それらのものが存在することは、それらが作用した結果から分かります。　

神が存在することは、ひとつには、神が創造された創造物の存在から分かります。(ヘブライ3:4)神が原因であり、それら創造物が結果です。また、神やその他の霊者の存在は、聖書の記述からも分かります。

　聖書はその歴史を裏付ける多くの証拠品があります。考古学的な証拠は、聖書に登場する人物が実際に存在したこと、聖書に登場する土地が実際に存在することを証明しています。

　また、聖書の真実性を裏付ける証拠は、単に博物館や美術館に存在しているだけではありません。聖書の出来事が起きた場所を旅行するならば、聖書に出てくる古代都市が現代でも存続しています。また、聖書中に出てくる人物の墓が存在していたりします。

The　tomb of Eve in 1894, during the Ottoman period.(eve8)聖書の土地を旅行すると聖書中の人物の墓があったりします－ここはエバの墓

　ですから、聖書を裏付ける多くの証拠、そうした考古学的な遺物は、聖書に書かれている出来事が実際あったこと、神が過去に積極的に人類の歴史に介入されたこと、つまり目に見えない神が存在されることを証明しています。

BIBLE IN OLD CHURCH by carl & tracy gossett(bible78)聖書はわたしたちの目に見えない知的な存在がいることを教えてくれます―確かに自分以外の知的な存在がいます－自分を過大視しないようにしましょう

　ですから、確かに重要なのは、自分の存在や感覚だけではありません。私たちが自分の周囲にある世界の真実を知る手段は数多くあります。私たちは、聖書や科学的な手段を用いて私たちの住む世界について調査し、学びましょう。

　聖書は私たちが目に見えないものの存在を知り、真実を知るのを助けてくれます。聖書を読み、またさまざまな手段でわたしたちの住む世界の実情を知るようにしましょう。そして、神と他者が存在するこの世界で、自分を過大視しないようにしましょう。