キリスト教は人の幸福を妨げますか

　私のブログに、このようなコメントを残した方がいました。

　「どこに住みたい？、誰と話したい？、どんな風に食事をとって？どんな物を食べたい？、どんな趣味を持って、どんな風に笑って、どんな風に泣きたい。頭に、色んなことが思い描くだろ。それが、自分のしたい事だと、何故気がつかない？楽しく生きたいんだろ？、それを止めているのは何だよ？」

　「もっと多くの人に楽しく生きて欲しいんだよ。自分の思い描く物を追いかけて欲しいんだよ。それを、妨げているのはキリスト教だと、何故クリスチャンは気がつかないのか？」　それで、ある人はキリスト教は、生活を楽しみたいという自然の願いを妨げるのではないかと考えます。キリスト教は人の幸福を妨げるのでしょうか。この問いについて考えてみたいと思います。

　多くの人は、自分が住みたい場所にきれいな家を建てて、そこで自分の愛する人と、おいしい食事をして、楽しい趣味を楽しむことをある程度望みます。ある程度の物質的な慰安を求めることは、人の自然な願いだと思います。

　そして、もし、生きていくのに必要な食べ物や水、衣服、住まいに事欠くならば幸福に感じる度合いは少なくなるというのは事実だと思います。人はそうした物を必要としています。

　しかし、人は生きていく上でいろいろな動機を持ち、いろいろなことを考えます。必ずしも人は物質的に安楽な生活を送ることだけを、自分の人生の目的にするわけではありません。

　とりわけ、創造者なる神の存在を信じている人々は、その方の是認を得たいと望みます。強制されてでなく、神に感謝を表したいと自分から望む人々も存在します。それは、そうした人々にとって人生を動かす原動力となります。

　そして、そうした人々にとって、神に喜ばれることは自分が物質的な慰安を得るよりも大切です。そうした人々の中には、ある程度物質的な楽しみを犠牲にする人もいます。　神や聖書を知らない人々が多い国に行って、生活レベルを下げて生活し、人々に神や聖書について知らせようとする人もいます。

　また、この世界には、さまざまな欠陥があり、そのために多くの人が苦しんでします。そのために、世の中にいるたくさんの気の毒な人々を助けるために何かをしたいと望み、そのために積極的に行動する人もいます。それで、災害が襲った所や、難民が発生した所で、自分を犠牲にして助けようとする人もいます。

　そして、それらの人々は他の人々を助けることができた時、満足し幸福に感じるでしょう。

Braziliansoldiers give medical aid to a Haitian　woman.　RooseweltPinheiro/Abr -http://www.agenciabrasil.gov.br/media/imagens/2010/01　(volunteer1)人々はある程度物質的な慰安を犠牲にして他の人を助けるためにボランティアをする人々もいます

Darfur refugeecamp in ChadMarkKnobil fromPittsburgh, usa - Camp(refugee1)物質的な慰安を犠牲にして難民を助けようとする人もいます

　人が病気に苦しんでいるために、その病気を治したい、あるいは少しでも楽にさせたいと考えて、医師や看護婦の仕事をする人もいます。寝食を忘れて仕事に打ち込む医師もいると思います。発展途上国や被災地にわざわざ行って働く医師もいらっしゃいます。

(doctor2)他の人々の身体的な苦痛を和らげるために寝食を忘れて働く医師もいます

　

　人は、さまざまな分野で、他の人々に対する憐みに動かされて行動します。ですから、そうした人々にとって自分が安楽な生活を送ることよりも、そうした人々を助けることが重要です。

　また、科学的な真理を探究するために、やはり安楽な生活を犠牲にする人もいるかもしれません。また、人々の病気を治すことを目的として、医学的な研究を続ける人々もいるでしょう。また、歴史を通して、聖書の真理を解明するために、自分の多くの時間を捧げた人々も存在します。

MarkFergus, CSIRO(scientist2)科学や医学や聖書の真理の探究のために物質的な慰安をある程度犠牲にして取り組む人々もいます

　ですから、人々は、単に自分の物質的な慰安のためにだけ人生を送るわけではありません。自分の信じる神のため、また、他の気の毒な人々を助けるため、また、真理の探究のため、時間と労力を使い、自分の物質的な慰安をある程度犠牲にする人も多くいます。

　それは、必ずしもクリスチャンだけではありません。高潔な目的を持って生活している人々は、いろんな宗教の人々や、また無宗教の人々の中にも大勢いると思います。ですから、単にキリスト教だけが単に物質的な慰安だけを求める生き方をさせないようにしているとは言えません。

　

　そして、こうした傾向は単に一部の人々だけでなく、非常に多くの人々に見られます。人々は単に物質的な慰安を追い求めるだけでは満足しないのです。　こうした傾向が非常に多くの人に見られる理由の一つは、人が基本的に神の像に造られているからです。(創世記1:27)すなわち、人間は神が持っておられる愛という特質を不完全ながらも、皆持っています。(ヨハネ第一4:8)

　

　ですから、人間は動物とは異なっています。動物は、巣作りをして、そこに住み、つがって食物を得られたら、それで不満を感じないでしょう。しかし、多くの人々は動物が物質的なもので満足する以上の物を求めます。

Animal Farm: Dear by Yndra(animal3)ただ食べてつがうだけで満足する動物以上の特質を人間は持っていますーキリスト教は人々が霊性をはぐくみ真の幸福を得るように助けます

　人間が持つ特質を霊性と言ってもいいかもしれません。ユダ19節には、「動物的な[人間]」は、「霊性を備えていません」と述べられています。それで、動物には、霊性が備わっていません。

　そして、人の中には、動物的な人もいます。ユダ18節には、動物的な人が、「不敬虔な事柄に対する自分の欲望のままに進む」と述べられています。ですから、ただ単に神の基準に調和しない自分の物質的な欲望や性的な欲望だけに動かされる動物的な人もいます。

　しかし、多くの人は、霊性があるので、単に物質的な慰安を得ること以上のことを求めます。そうした霊性は人間を向上させます。反対に霊性を無視すると精神的に人間の生活のレベルは低くなります。

　人間はある程度、物質的な慰安を犠牲にしても、意義あることのゆえに犠牲を払うことを喜ぶ特質を持っています。

　しかし、私たちは自分が霊性に欠けていると感じたとしても、霊性を育むことができます。聖書の正確な知識を取り入れてまず神に対する信仰を育むことができます。　また、仲間の人間を自分と同じように、あるいは自分以上に愛するのは、神のご命令なので、他の人々に対する愛や憐みを育むことができます。(マルコ12:29-31)

　それで、キリスト教は人々が幸福になるのを妨げているのではなく、人間が持つ本質的な願いを満たして真の幸福を感じるように助けます。