新約聖書よもやま裏話 第28回 歴史家フラウィウス・ヨセフス売国奴か、亡国の愛国者か!?

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。


伊藤明生
東京基督教大学教授

名前の由来

 ヨセフスまたはヨセフォスという名前を聞いたことがあるだろうか。

 この名前は、元来、ヨセフという名にほかならない。イエスの母マリヤと結婚したヨセフ、または旧約聖書に出てくるヤコブ(後のイスラエル)にラケルが産んだ息子のひとりと同じ名前である。

 ヨセフという名前に語尾ウスを付けてラテン的名前にして、ヨセフスとなった。時にはフルネームでフラウィウス・ヨセフスとも呼ばれる。ローマで彼の保護者となったローマ皇帝の家名がフラウィウスで、その名を授かったからである。

ヨセフスという人物

 ヨセフスは、紀元後三十年代に生まれ、紀元一世紀後半という、ユダヤ人にとって怒濤の時代を生き抜いた歴史上の人物で、歴史家である。

 晩年、皇帝の庇護のもと、『ユダヤ戦記』『ユダヤ古代誌』といった歴史書を執筆した。その他にも『自伝』『アピオーンへの反論』など、ローマ世界にユダヤ民族の立場を弁明する書物を著している。

ヨセフスの生涯

 『自伝』『ユダヤ戦記』によると、ヨセフスの生涯は以下のとおりである。

 ガイウス・カリグラ帝の第一年、紀元三七/三八年にエルサレムで生まれた。彼の父はマッティアスと言い、祭司の家の出であった。母親はマカベヤ一族の出身であった。

 幼いときから良い宗教教育を受け、十四歳にして祭司長や他のユダヤ教指導者たちが律法について正確な教えを得るために彼を訪ねた、と彼自身(!)が主張している。

 十六歳の時に、その程度で満足できないで、パリサイ派、サドカイ派、エッセネ派のユダヤ教各派を順に体験して、最後にバンヌスという隠者と荒野で暮らした。三年間の隠遁生活後エルサレムに戻り、十九歳にして、パリサイ派となる。

 紀元六四年、二十六歳の時に、親しい祭司たちの釈放を請願するために帝都ローマを訪れる。そこで、ネロのお気に入りであったユダヤ人役者アリストウロスと知り合いになり、ネロ帝の妻ポッパエアに紹介してもらい、旅の目的を果たす。

 その後、紀元六六年にローマに対する反乱が勃発するが、ヨセフスは開戦前夜に蜂起を思いとどまるように説得して回る。一度戦争が勃発してからは、ガリラヤ方面の総司令官となり、ゲリラ戦法を駆使してローマの正規軍を悩ませた。

 そして、ヨタパタの陥落の際に、投降して生け捕りにされたが(紀元六七年)、ローマ軍の総司令官ヴェスパシアヌスがローマ皇帝になると「予言」して、命を助けられる。

 ネロ帝が自害した後にローマ世界は内乱状態に陥るが、紀元六九年にエジプトとユダヤの軍団によって、ヴェスパシアヌスがローマ皇帝と宣せられる。

 こうしてヨセフスの「予言」は「成就」し、ヨセフスは自由の身となり、以後ユダヤ鎮圧を任務とするローマ軍の随員としてユダヤ人に降伏を呼びかけたり、ローマ軍のために通訳したりした。

 エルサレム陥落後には、(旧約)聖書の写本をもらい受けたり、友人・知人・家族の命乞い・釈放を申し出たりした。

 その後ローマに渡り、ローマ市民権が与えられ、皇帝の庇護のもとで年金生活をしながら、執筆活動をした。没年は紀元一〇〇年頃と思われる。

ヨセフスの著作

 ヨセフスは著述活動で一貫して、ローマ世界にユダヤ民族を代弁・弁明しているが、ユダヤ人からは売国奴として嫌われた。

 『ユダヤ戦記』では、ローマに対する反乱に至る経緯に始まり、反乱が鎮圧されるまでが扱われているが、戦争の責任を「熱心党」と呼ばれるユダヤ人のほんの一部である原理主義的過激派に押しつけている。

 熱心党以外のすべてのユダヤ人たちは戦争を嫌い、ローマに対して蜂起することに異を唱えたというのは厳密な事実ではないだろう。事実を歪曲したとは言わないまでも、事実の一部を過度に強調した、と思われる。

 また、時には、民族の利害よりも個人の利害を優先しているようにも見受けられる。人格的問題をヨセフスに認めるのは筆者のみではないだろう。とはいえ、『ユダヤ戦記』などヨセフスの著作は貴重な歴史資料にほかならない。

 ヘロデ大王をはじめ、ヘロデ一族について私たちが知っていることの多くは、ヨセフスの記述に負っている。今は失われてしまった多くの資料をヨセフスが活用したからである。

 『ユダヤ古代誌』は、天地創造に始まり、ユダヤ戦争(対ローマ反乱)までのユダヤ民族の歴史をたどっている。場所や時代によってはヨセフス自身が誤解したと思われる箇所や手元にあった歴史資料の限界を読み取れる箇所もある。

 『アピオーンへの反論』はユダヤ人弁明の書であり、当時のローマ世界でユダヤ民族、ユダヤ教がいかに嘲笑され、誤解されていたかがよくわかる。

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