今年のクリスマスに贈りたい聖書のメッセージが込められた絵本翻訳者に聞いたオススメの1冊 『モティマー クリスマスのおひっこし』
聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。
モティマー クリマスのおひっこし
カーマ・ウィルソン
絵:ジェーン・チャップマン
訳:ホーバード豊子
税込価格:1,365
フォレストブックス
翻訳者・ホーバード豊子さんに聞きいた「ここが読みどころ」
この本を初めて読んだ時の印象はいかがでしたか。 新しい絵本と出会うたびに、新しい世界に触れることができ、心の中の新しいドアがひとつ、またひとつと開かれていくような気がしています。カーマ・ウィルソンのデビュー作品Bear Snores On(邦題『くまさんはねむっています』BL出版)がベスト・セラー作品であることは知っていましたが、このクリスマス絵本を初めて読んだとき、それがうなずけるような心の温まる可愛い絵本だと思いました。最初の印象は今も変わっていません。
翻訳するうえで、難しかったところはありますか。 特に難しいと感じたことはありませんでしたが、あえて言わせていただくならば、主人公であるモティマーのキャラクターにマッチした語り口を考えました。
後は、まず絵を見ながら原文を読み、作家がこの絵本を通して何を伝えようとしているかを探ることなどが、自分自身の心が開かれていくのが実感できるような楽しい作業となりました。
翻訳で特に気を使ったのは、どんな点ですか。 特に意識をしたのは、この絵本の向こう側にいる日本の子供たちがどんなふうに受け止めてくれるだろうかという点でしょうか。
絵本は文章量が少ないだけに、一文、一語にこめられる思いには、深いものがあると思います。ストーリーの展開をきちんとつかんで表現することも大切です。子供たちが読み聞かせてもらうことも多いので、日本文としてのリズム感と聞いていてわかりやすい文章を心がけました。
この本の良い点は、どんなところでしょうか。 モティマーの心やさしいキャラクターに触れることができますし、また日本ではあまりなじみがないかもしれませんがネイティビティー・セットについても知ることができます。
また、次にお話がどんなふうに展開していくのだろうかとページをめくる前にいつも子供たちの興味を引き付けておくものがあると思います。
こんな読み方をすると良い、楽しいというようなアドバイスはありますか。 このクリスマスには、教会やご家庭でぜひネイティビティー・セットの置物を子供たちに見せながら、この絵本を読み聞かせしていただきたいと思います。
モティマーのデリケートな心情やその置かれた環境のディテールがありありと伝わってくるのを楽しみながら味わっていただけるのではないでしょうか。
この本の中心的なテーマはどんな点ですか。 イエスさまが馬小屋のかいばおけでこの世の救い主としてお生まれになったことをお祝いするのが、クリスマスだということを子供たちに伝えることが、この絵本の核となるテーマです。
個人的に、特に気に入っている場面はどこですか。 特に一箇所を挙げるとしましたら、モティマーがふかふかで、あたたかい干し草にくるまって気持ちよさそうに眠っている場面です。
このイラストには、モティマーの可愛さがあふれんばかりに、画面いっぱいに表現されていて作者が意図しているキャラクターを表現するのに充分ふさわしい絵であると思いました。
聖書的な要素の入った本ですが、未信者の方にも喜んでいただけるでしょうか。 そう思います。特にクリスマスは未信者の方々にクリスマスの本当の意味を知っていただくのに、絶好の機会ですので、このようなテーマのお話はクリスマス・パーティーなどを催して子供たちに読み聞かせるなどされれば、受け入れられやすいのではと思います。
時々読みたくなる、聖書的要素の入った、お気に入りの絵本はありますか。 『たいせつなきみ』でしょうか。私が主の導きと助けによって、翻訳を手がけさせていただいたのですが、翻訳というのは、まず作品の世界にはいっていかなければならないので、人の心の持ち方や置かれている状況、世の中の仕組みなどを知っていればいるほどまた、これまでの人生で感じたことが、文章にそのまま反映させていくことのできる作業だと感じています。十年の歳月を経ても、手にとるたびに、初めて読んだときの感動が毎回心にわきあがってきます。私自身もこの絵本の愛読者のひとりです。