足利工業大学理事長 牛山 泉
創世記の初めにも、「神の霊が水の上を動いていた」(1・2)とあるように、聖書には水に関する記述が多い。かつて史上初めて有人宇宙飛行に成功したソ連(現ロシア)の宇宙飛行士ガガーリンは、「地球は青かった」と、宇宙から見た地球の感想を述べているが、宇宙から見た地球は陸地の二倍以上、地球の表面積の約七〇%の青い海が輝いているのである。地球上の水の量は莫大なため測定はできないが、海の平均的な深さが四〇〇〇メートルもあることから、一兆トンの百四十倍程度にもなるといわれている。
海から蒸発した水蒸気は、その九〇%近くが直接海上に降り、残りの水蒸気は風によって陸地に運ばれ、淡水の雨や雪として地上に降る。この淡水が農業、工業、発電、生活用水として利用されるわけである。地上に落下した水の約六五%は蒸発して大気中に戻り、残りの一部が地中に浸透して地下水となり、地中をゆっくり流れて河川や湖沼に行くか、泉となって現れることになる。地下水が滞留する時間は、地域や深度によっても異なるが、平均して八百年程度にもなるという。雨や雪は、地表を流れて直接河川に入る分もあり、地表からさまざまな物質が溶け込んだ河川は、最終的に海に到達する。そして、再び海から蒸発し、約十日から十五日で雨や雪として地表に戻ってくることが繰り返されている。
この水の循環は、地表の温度調節の役割も果たしている。水は蒸発するとき、周りから多くの気化熱を奪い、逆に水蒸気から液体に凝縮するときには、周りに熱を放出することになる。そのおかげで、地表では極端な温度変化が起こらないようになっているのである。水のきわめて少ない砂漠では昼夜の寒暖の差が非常に大きいことを考えても、水の果たす温度調整の役割を理解できる。
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ここで水と人類文明の歴史について考えてみよう。農耕と牧畜による定着村落生活は、まずティグリス・ユーフラテス両川の下流流域であるメソポタミアの南部でシュメール人により始まったという。丘陵や高原地帯での天水による農業が始まり、次第に平野部での川の水を利用する灌漑農業に移行し、川沿いの肥沃な沖積平野がきわめて高い農業生産を可能にしたことから、人口増大をもたらしたのである。彼らは、紀元前三五〇〇年頃に都市国家を形成し、人類最古の文明を開花させた。この西アジアに起こった農耕と牧畜の文化は、エジプトのナイル川流域にも伝播し、エジプト人は古代エジプト文明を形成した。旧約聖書に描かれた農耕や干ばつの記事は、それらの文明を舞台にしている。
また、インダス川流域にも紀元前二五〇〇年頃に文明が形成されている。これら三つの文明は相互につながりがあり、それぞれの風土に適した国家および文明を形成していった。一方、東アジアの中国の黄河流域でも、紀元前一六〇〇年頃に都市が発生し、高度な文明を持つ都市国家へと発展した。このようにして温暖で肥沃な大河地域に世界の四大文明が成立したのである。
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これらの文明が発生した地域の共通の特徴は、まず豊富な水量の川があり、その流域には豊かな森林地帯が存在し、人々の燃料や建築材料にする木材が十分にあったことである。中東は今でこそ砂漠地帯であるが、メソポタミア文明が栄えた頃には樹木が生い茂り、レバノン杉の森林が広がっていた(詩篇29・5、Ⅰ列王記5・6)。
ソロモンが神殿を建てるときには、イスラエル国内から三万人の森林伐採要員を徴募した。一か月交代で一万人ずつレバノンに送り込み、ツロ王ヒラムの協力により、レバノンの香柏の材木と糸杉の材木を切り出し、レバノンからいかだに組み海路でイスラエルまで運んでいる(Ⅰ列王記5・8~14)。ところが、文明の繁栄は人口増加をもたらし、樹木が次々に伐採され、あの中東の土地が砂漠になってしまったわけである。これは黄河流域でも同じであった。
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現在の黄河流域には森林が五%しか存在せず、その他は荒涼たる不毛の砂漠になっているが、今から三千年前の黄河流域には古代文明が栄えていた。その頃にはこの大河の流域の八〇%が森林地帯であったという。それが千五百年前には森林率が一五%になり、現在はたった五%になってしまった。これは気候変動が原因ではなく、人間の活動の結果である。紀元前二〇〇年代の秦の始皇帝の築いた万里の長城に使った膨大な数のれんがを焼くためにも、黄河流域の森林が大量に伐採されたはずである。
このように大河の流域の森林、つまり水と木質バイオマスが古代文明を支えてきたのであるが、これについては「生物の力」として後に述べることにしよう。
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