『歎異抄』と福音 第二回 ミステリーとしての「歎異抄」

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

一冊の本を読み始める時、力の入った冒頭へ気がはやるのを抑えて、末尾の解説から読んでしまう癖がある。現代日本の古典となった『歎異抄』だが、冒頭ではなく末尾の「結文」から読んでいきたい。解説から読んでしまう癖から、最近このような出会いを経験をした。
キリスト教の古典といえばアウグスティヌスの『告白』だが、二〇一四年に中公文庫が三巻もので再版した。その第一巻の末尾に、「『告白』山田晶訳をもつということ」と題した解説があって、書店で立ち読みするうちに、引き込まれて衝動買いをしてしまった。山田晶は京都大学で長年『告白』ゼミを行い、訳文を磨き上げていった。そこに座した一人の弟子が、この歴史的名訳の意義を熱く語っていたのだった。その見事な解説に遭遇して『告白』を精確で美しい日本語で改めて読み味わうこととなった。
さて、『歎異抄』に付された解説には、教団内で秘書の烙印が一度ならず二度まで押された経緯が記されている。 最初の烙印は、『歎異抄』の著者唯円本人が結文において、「外見あるべからず」(あまり外に見せないように)としたものだ。二度目は、室町時代となって、浄土真宗中興の祖といわれる蓮如(一四一五|一四九九)が、『歎異抄』に付録をつけて、「左右なくこれを許すべからざるものなり」(むやみに読むことを許してはならない)と念を押したものだった。

◇「一室の行者の中に信心ことなることなからんために、なくなくふでをそめて、これをしるす。なづけて歎異抄といふべし。外見あるべからず。」|同門の念仏行者の中で信心が異なることのないように、涙とともに筆を執って、これを記し、歎異抄と名づける。あまり外に見せることのないように。
要するに、この書は宗門外の人に見せるなと、蓋をしてしまったのだ。親鸞の死後、あまりに異端説が広がるため、泣く泣くこの書を記したが、宗門の内部資料としてとどめて外部への公表は差し控えていただきたい。なぜ唯円はそう考えたのだろう。誤解を生む危険性をはらんでいるとすれば、それはほかでもない、悪人こそが救われると断言した『歎異抄』第三章の文言だろう。
◇「善人なおもて往生をとぐ。いかにいはんや悪人をや。」|善人でさえも極楽に生まれることができるのです。ましてや悪人にできないはずがありません。
これは悪人正機説と呼ばれ、『歎異抄』の中心思想だ。善行を積んだ「善人」ではなく、悪行にまみれた「悪人」こそが救われる。これはあまりに大胆な逆説だった。それはそうだろう。仏教の根幹には戒めを保って、瞑想修行をすることで、覚りを目指す修行の道がある。修行こそが仏教の中心にあるにもかかわらず、悪人こそが覚れるのだという教えはあまりに大胆すぎる。師から直接聞いた教えはそうなのだが、その危険性を唯円は予感していた。

浄土真宗第八世の蓮如は、親鸞の教えを日本中に広める土台を築いた人だった。本願寺の蔵に秘された『歎異抄』を読んだ蓮如は、この書の持つ異様な力を直感し、これは不用意に人に見せるべきではないと考えたのだろう。左のように奥書を付けて、『歎異抄』を封印してしまった。
◇「右、この聖教は、当流大事の聖教たるものなり。無宿善の機においては左右なくこれを許すべからざるものなり。釈蓮如」|右、この聖教は、我が浄土真宗において重大な聖教である。教えを理解する善き資質の備わっていない人間には容易に読むことを許してはならない。釈蓮如
『歎異抄』は、このまま世に出なかったのかもしれない。英語のミステリーの元になるギリシア語ミュステーリオンが新約聖書に見られる。隠されたものという意味である。今は隠されているけれども、やがて神によって明らかにされるものという意味で、「奥義」(マルコ4・11)などと訳される。聖書全体が、しだいに明らかにされる神の壮大な計画と見ることができる。世々にわたり隠されてきた神の計画は、やがてキリストにおいて明らかに啓き示される。この神のミステリーを、聖書は福音と呼んでいる。
「これは、多くの世代にわたって隠されていて、いま神の聖徒たちに現された奥義なのです。神は聖徒たちに、この奥義が異邦人の間にあってどのように栄光に富んだものであるかを、知らせたいと思われたのです。この奥義とは、あなたがたの中におられるキリスト、栄光の望みのことです。」(コロサイ1・26、27)
『歎異抄』と福音の共通点は、両者とも隠され、やがて明らかにされるミステリーであることだろう。プロテスタント宣教の始まった近代日本において、聖書と『歎異抄』は、時同じくして広く読まれるようになるのである。

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