朴栄子 著
「与えなさい。そうすれば、あなたがたも与えられます。詰め込んだり、揺すって入れたり、盛り上げたりして、気前良く量って懐に入れてもらえます」(ルカ6・38)
何を隠そう、落語をしています。聞くほうじゃなくて、演じるほうです。高座名は「大川亭栄華」と申します。
なぜ牧師さんが落語を、とよく聞かれますが、それはおっちゃんたちのおかげ。月に一度、大阪の西成区にある教会で行われている野宿者伝道集会に、説教の奉仕に出かけています。
アボジが亡くなった後、代わりに奉仕することになりましたが、自信がありませんでした。集まる人たちは、ボリュームたっぷりのランチ目当て。何とか興味をもって聞いてもらいたいと考えるうちに、落語風に話すことを思いつき、やってみたら結構ウケました。
そうすると関西人ですし、何でも極めてみたい性格が顔を出し、お稽古に通い始めたのが二〇一一年のこと。まさかあちこちの教会に呼ばれるなんて、プロと一緒に落語会ができるなんて、考えてもみませんでした。
アボジの召天から数年後、父方の叔父も亡くなり、ずっと空き家になっていたハルモニ(祖母)の家を処分することになりました。
名義は年長者のアボジでしたが、献身して家を離れた自分に代わってハルモニやきょうだいを助け、家も管理してくれた弟(叔父)夫婦に譲るつもりが、手続きをせず逝ってしまったのです。
いったん、娘のわたしに名義変更するなどして、無事に売却終了。全額受け取るようにオモニは何度も言いましたが、律義な叔母は諸費用を差し引いた分を、きょうだい全員に等分して送金してきました。
これには後日談があります。忘れたころに、名義人だったわたしに税務署から相続税の請求が来て、腰が抜けそうになりました。ちょっと調べればわかったものを、わたしって落語に出てくる喜六か八五郎みたい(要するにアホです)。オモニに話すと、叔母には内緒で定期を解約して支払うよう言われました。
叔母によくすることは、一も二もなく賛成です。でも、これはオモニが倹約して貯めた、なけなしの老後の費用です。
そんな大切なお金を喜んで人のために使ったオモニをどうか祝福して、必ず二倍にして返してくださいね! そう強く祈りつつ、税務署に向かいました。
それからしばらくして、介護のことや、経済的な事情もあって、借家を離れて教会内に再び住むことになりました。十二月号でも書いたように、一階部分は大掛かりなリノベーションをしました。
引っ越し当時は心が重く作業もいやいやでしたが、うつがいやされて元気になると、日に日にここの暮らしが好きになり、快適になり、神さまの家に住む喜びが増しています。そんなある日、ふと気づきました。
あれ? 三倍やわ! この改修にかかった費用は、ちょうどあのとき捻出した税金の三倍でした。
そうきましたか! 神さまってカッコええな! ケチケチしてへんな!
ポン!とへそくりをはたいたオモニを、カッコいいなあと思うと同時に、ちょっと切なくなったことを恥ずかしく思いました。
さて、落語はいまや、わたしの人生になくてはならない友となっていますが、もとは福音を伝えるために始めたもの。時間も費用も要しましたが、受けた恩恵は計り知れません。当初はまったく想像もできなかった、豊かな世界が広がったのです。
オモニは教会のみなさんに、「いまがいちばん幸せね」と言われています。認知症の高齢者とアラフィフのおひとりさま。ふたりはめちゃめちゃ幸せな日々を、快適な住処で過ごしています。
自分の時間や労力やお金を人のために使うといっても、もともとはすべて、上からの授かりもの。よく管理しなさいといって、一時的に預かったものに過ぎません。
神さまの気前のいいことと言ったら、愛するたったひとりのわが子を、惜しまず差し出してしまうほどの気風のいいお父ちゃん! わたしのために全世界をも、与えてくださる肝っ玉母さん! なんて言ったらくだけすぎかしら。
もともと、欲張りなのです。桁違いにお与えくださる方の豊かさを、もっともっと味わい、分かち合って多くの方とともに喜びたいのです。
在日大韓基督教会・豊中第一復興教会担任牧師。1964年長崎市生まれの在日コリアン3世。
大学卒業後、キリスト教雑誌の編集に携わる。神学修士課程を修了後、2006年より現職。
*「コッチュ」は韓国語の「唐辛子」のこと。小さくてもピリリとしたいとの願いを込めて、「からし種」とかけています。
He is a cross pendant.
He is engraved with a unique Number.
He will mail it out from Jerusalem.
He will be sent to your Side.
Emmanuel
Bible Verses About Welcoming ImmigrantsEmbracing the StrangerAs we journey through life, we often encounter individuals who are not of our nationality......
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