ヘブル語、ギリシア語―聖書の原語の世界には、どのような魅力があるのでしょうか。普段慣れ親しんでいない原語を通して見えてくる、新たな聖書の世界をちょっとのぞいてみませんか? みことばを学ぶ上でも新鮮な発見があるはず。
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大阪聖書学院教師 杉山世民
聖書を読むというのは母国語でも大変なのに、新約聖書に関して言えば、「よし、原語のギリシア語で読もう!」と決意する人は、そんなに多くはないかもしれません。
でも、よく考えてみるとパウロは、日本語で手紙を書いたわけではありませんし、福音書も、本来、日本語で書かれたわけではありません。したがって、細かい言葉のニュアンスを知るためには、どうしても原語までさかのぼらねばなりません。
でも、「ギリシア語」と聞いただけで、すぐ「難しい」という印象を受けて尻込みしてしまいます。
英語には、“It’s quite Greekto me.”と言うと「チンプンカンプンでわかりません」というような表現があるくらいです。
聖書翻訳の大切さ
もちろん、私たちには日本語に翻訳された聖書があって、誰もが自由に手に入れることができます。二〇一七年には『聖書 新改訳2017』が一新されました。
私たち日本人が、自分の言語で一気に聖書を読むことができるのは大変、重要なことですし、大変、感謝なことです。これには、多くの人たちの努力があることを忘れてはなりません。多くの時間と多くのエネルギー、そして、多くの経費が投入されています。
ギリシア語で書かれた新約聖書を自国語に翻訳するときに応用される原理に「ABCの原理」というものがあります。
A=accuracy 「正確さ、精密さ」です。日本語に置き換えられた時に果たして、その日本語が原語に忠実に訳されているかです。
B=beauty 「美しさ、滑らかさ」です。やはり、日本語の聖書なのですから、いくら原語に忠実であったとしても、日本語としての美しさが無ければなりません。
C=clarity 「明瞭性、明確さ」です。日本語の特徴は、自然に溶け込んだ言葉の美しさにあります。しかし、いくら日本語として美しくても、原語の意味の明瞭性を犠牲にしてはなりません。
このように見ると、「こちらが立てばあちらが立たず」という自家撞着に陥ってしまいます。聖書翻訳が、いかに難しいかがわかります。
翻訳するに当たって、原意を解釈することなしに他の言葉に置き換えることはできません。ですから翻訳は、ある意味「解釈」であると言っても過言ではありません。その意味では、新約聖書を原語で読むことができれば、翻訳されたフィルターを通さないで、直にパウロの言葉として読むことができ、パウロの息遣いを感じることができます。
聖書に登場するギリシア語
三十年ほど前になりますが、アテネ大学でギリシア人の女子学生と話していたとき、「新約聖書のギリシア語は簡単よ」と言っていたのを想い出します。
ドイツの学者Robert Morgenthaler によると、新約聖書に用いられているギリシア語の単語の数は五千四百三十六語で、そのうち三千二百四十六語が、一回、二回、三回しか出てこないが、残りのうち千百語は十回以上出てくるという統計を出しています。
ですから、同じ言葉が格変化しながら何度も聖書に出てくるのです。しかも、新約聖書ギリシア語(ネストレ・アーラント〔Nestle-Aland〕二十一版)の本文単語総数は十三万七千四百九十語であると、UBS(United Bible Societies, 世界聖書連盟)ギリシア語新約聖書を編纂した中心的人物のひとりB. Mezgerは、Lexical Aids for Students of New Testament Greekという本の中で書いています。
これは、現代ギリシア語の言葉の数の多さからすれば、はるかに少ない数と言えます。あの女子学生が「新約聖書のギリシア語は簡単よ」と言っていたのも頷けます。
ギリシア語の美しさ
新約ギリシア語は、思われているほど難しくはないこと、これに加えて、ギリシア語という原語の持っている「美しさ」があります。この美しさは翻訳不可能です。
ドイツの考古学者シュリーマンは、何か国語も習得していましたが、ギリシア語だけは後回しにしたそうです。その理由は、その言語の美しさで、学びを始めると自分の時間をすっかり取られるのを危惧したらしいです。
アテネ大学で、私の恩師ブルガリス教授のヘブル書のクラスを取ったことがあります。UBSの新約ギリシア語本文を朗読され、朗読後に「ギリシア語は美しいなあ」としみじみ言われたのを忘れることができません。
新約聖書を原語のギリシア語で読む楽しさは、やはり、ギリシア語を学んだ者にしかわからない喜び、楽しさがあります。ぜひ、多くの教会の方々に「新約聖書をギリシア語で読もう」という機運、うねりを興していただきたいものです。日本語だけでは気づかなかった発見があるはずです。
聖書を原語で読む助けとなる書籍
『聖書翻訳を語る
「新改訳2017」何をどう変えたのか』
1970年に刊行された『聖書 新改訳』が、約半世紀を経て全面・大改訂された。聖書に、なぜ改訂が必要なのか、原典に忠実とはどういうことなのか。翻訳改訂作業の中核を担った聖書学者・日本語学者たちが語る。
新日本聖書刊行会 編
A5判 定価1,100円(税込)
『聖書を原語で読んでみて
はじめてわかること』
翻訳だけではなかなか伝わってこない聖書の言葉の意味やニュアンスを、原語を注視して読み解く。聖書の有名なエピソードをヘブライ語、アラム語、ギリシャ語の性格を紹介しながら平易に語る注目の書!
村岡崇光 著
A5判 定価1,760円(税込)
He is a cross pendant.
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