五感は神が与えられた人が楽しむための「もてなし」

お茶の水聖書学院前学院長　藤原導夫

『心の窓を開いて　五感、それは神の贈り物』
堀肇 著

B6判
定価880円（税込）
フォレストブックス

著者の堀先生は今年五月二十八日、肺炎のため急逝されました。先生は牧師として教会の伝道牧会のみならず、その賜物を活かし、教団教派を超えてさまざまな働きにも取り組んでこられました。あまりにもはやく逝ってしまわれたことが残念でなりません。
副題「五感、それは神の贈り物」が本書の内容をよく表しています。そこでは私たち人間の五感について考察されています。そしてそれらが神からの贈り物であることに気づき、感動し、あらためて神に感謝し、御名を崇める著者の信仰が告白されています。
頁を開くと次の五項目に整えられています。「野の花を見よ　見ること」「聞くに早く　聞くこと」「いのちに至らせる香り　嗅ぐこと」「まことの食べ物　味わうこと」「イエスは手を伸ばして　触れること」。これらのフレーズの前半は聖書の言葉、後半は五感の働きを示しています。
著者の言葉を引用してみましょう。「目が見えるということは、本当に素晴らしい恵み」、「『聞くこと』ができるのはなんと素晴らしい神の恵み」、「私は神が香りというものを造られ、私たちがそれを楽しむことができることを今さらのごとく感謝している」、「神から与えられた味覚という感覚によって、おいしく味わうことができることは、感謝すべきこと」、「イエスはしばしば病人にその手を差し伸べられ病を癒やされた」。
本書に一貫しているのは、神は人間に五感を与えてそれらを楽しむように「もてなしていてくださる」ということに気づき、その恵みを味わい、感謝しましょうということです。
最後の六項はクリスマス・メッセージです。「イエスも福音を語られたとき、五感で認識できる比喩や象徴を用いて真理のことばを伝えられた……クリスマスの時節を迎えましたが、その『大きな喜びの知らせ』……を聞くために、神が与えられた五感を豊かに用いてみましょう」。
私たちも神から与えられた五感を用いてクリスマスをお祝いすることができればなんと幸いでしょう。