日本の不倫と自殺の文化・有島武雄・太宰治・谷崎潤一郎

(1)キリスト教の影響の弱い日本文学と自殺との関連 

　日本文学には、キリスト教の影響が非常に弱いため、同性愛や自殺を受容する考え方が広く見られます。わたしは、一応、自宅にあった数十巻の日本文学全集を全部読みました。内容の詳細はほとんど覚えていませんが、四十巻から六十巻あったかもしれません。 

　日本文学は、あいまいさと憂鬱や倦怠感が特徴になっていると感じました。作者たちが聖書を知らないので、将来に対する希望を持っていません。また、ストーリーの中で、登場人物が問題に直面する場合、絶望する場合が少なくありません。それで、日本文学の有名な作家の多くが自殺を図ったのは不思議ではありません。 

　下は、日本の有名な文学者で自殺した人が何歳で、どのような方法で自殺したのかを簡単にまとめたものです。 

有島武郎

作家

心中/首吊り

45歳

1923年6月9日

不倫関係にあった波多野秋子と共に軽井沢の別荘で首吊り。

芥川龍之介

作家

睡眠薬

35歳

1927年7月24日

太宰治

作家

心中/入水

38歳

1948年6月13日

山崎富栄と共に玉川上水へ入水。富栄による無理心中説あり。

三島由紀夫

作家

自刃/切腹

45歳

1970年11月25日

市ヶ谷駐屯地にて自衛隊決起を呼び掛ける演説をしたのち割腹（三島事件）。

川端康成

作家

ガス

72歳

1972年4月16日

ノーベル文学賞受賞者。逗子マリーナマンション407号室でガス自殺。

　わたしは、小説や物語を読む時、明るい気持ちになったり、希望を持つようになるのがいいので、憂鬱な気持ちを醸成する小説は好きになれませんでした。聖書は、以下のように述べており、前向きです。　「今，信仰，希望，愛，これら三つは残ります。しかし，このうち最大のものは愛です。」(コリント第一13:13)ですから、聖書は、信仰に基づいて将来に対して希望を持ち続け、愛に基づいて行動することを勧めます。わたしは、そのような生き方がいいと考えます。　そして、そのような生き方は、決して、根拠のない楽観的な非実際的な生き方ではなく、理性的に考えることを伴う、最善の良い結果をもたらす生き方だと考えます。全能の愛の神の後ろ盾があるからです。　

　　そして、日本文学の多くはストーリーがあまりにも複雑なので、後でほとんど内容が記憶に残りませんでした。 

(2)キリスト教から離れて心中した有島武雄 

　有島武雄は、北海道の人です。米国に留学してハーバード大学に一年間いて退学しました。彼は、一時はキリスト教を信じており、内村鑑三や武者小路実篤と交流を持ちました。でも、キリスト教を疑って離れました。そして、無政府主義者などを支持したりしました。　　彼は「カインの末裔」など、不倫を犯した男を主人公に小説を描いています。彼は、人間が罪深いことを認めていましたが、聖書に固く従うという気持ちを持ってはいませんでした。 

　日本人の場合、歴史的にキリスト教的知識がほとんど蓄積されていません。そのために、欧米にはたくさんあるような聖書の歴史的な正確さを裏付けるような書籍などがとても少ないと思います。日本では、神道と仏教が絶対的な多数派を占めているため、キリスト教会の日本人は、欧米のキリスト教会のクリスチャンたちよりも、信仰心が弱いと思います。 

有島武雄さんはキリスト教を離れて最後には心中した

 

　そのため、容易に信仰を捨ててしまう傾向があると思います。有島は、美人の人妻と恋愛関係になり心中しました。彼は自分の小説の主人公と同じ行動をとって、聖書で非とされている自殺をしました。無教会主義の内村鑑三は彼の心中を死後、非難しました。 

(3)不倫を何度もして最後には心中した太宰治 

　「人間失格」「走れメロス」などで有名な太宰治は四回自殺未遂をしました。問題に直面するたびに、自殺未遂をしています。とても、精神的に弱いと思います。彼は何度も不倫をして、小説の題材をもらった女性に私生児を産ませて認知をしています。彼は、正妻をほんとうに愛していると遺書に書き残しながら、愛人と心中しました。 

田村茂 太宰治は苦境に直面するたびに自殺未遂を図り最後に愛人と心中してしまった

　彼は、小説を書くのがいやになったから死ぬのですと書いていましたが、健康も損なわれていたこともあり、精神的に病んでいたというしかないと思います。　　わたしは太宰さんの「走れメロス」は励まされる小説だと思います。彼が聖書をよく知っていたら、生き方が少しは違っていたかもしれません。やはり、頼ることのできる神に対する信仰がなく、従うべき道徳規範を知らないと病的な生き方に陥りやすいのではないかと思います。

⑷陰鬱な小説が特徴と言われる谷崎潤一郎 

　『細雪』 などで有名な谷崎潤一郎は『卍』 では、両性愛の女性が主人公です。この方は、私生活では、本妻の妹を好きになり、友人の小説家に妻を譲ることを約束しましたが、前言を翻しました。でも、やはり、妻と離婚して、妻を譲り、再婚しました。しかし、妻も不倫をしていたようです。でも、再婚後、やはり、すぐに不倫をし、離婚して、また、別の女性と同棲をしました。　彼は、文壇から、日本的な美、性や官能を耽美的に描いたとみなされました。陰鬱であることが、芸術的であるとみなす考え方があります。そして、この方の小説の特徴は、陰鬱であると言われています。 

　この方が書いたことは、一夫一婦制を教えて夫婦が生涯連れ添うこと、性の奴隷とならないことように勧める聖書とは反しています。 (マタイ19:4-6)この人は、不倫と同性愛や性愛の耽溺を美しいこととしていた、全く反聖書的な倫理基準の方でした。 

谷崎潤一郎の小説は陰鬱と非聖書的なことを美しいこととして描く日本的な美で知られている

 

　しかし、日本は、一般的に仏教と神道が支配的であり、仏教と神道には、神の律法に違反することを非とする考え方はありません。とりわけ戦前はそうでした。彼は明治生まれの方で、彼の思想を形作ったのは、基本、神道と仏教と日本の文化のみだったと思います。基本、淫行や同性愛を絶対に非とする概念がない環境におられたのですから、仕方がないことです。 

　この方は、結婚の絆を尊重しない生き方や性の悦びを小説の中で、表現され、私生活の中でも同じような生き方をされました。でも、この方の小説の特徴は陰鬱と言われているので、心の中では、ほんとうの喜びを持っておられなかったのではないかと思います。 

　このことは、聖書のキリスト教の基準を無視した生き方が、心の中の喜びや幸福感、生活の安定をもたらさないことを示しているのではないかと思います。

 

　このことは、聖書のキリスト教の基準を無視した生き方が、心の中の喜びや幸福感、生活の安定をもたらさないことを示しているのではないかと思います。