伝道の書3章・人間も動物も死ぬことでは同じ

「人間の子らに関しても終局があり，獣に関しても終局があり，これらは同じ終局を迎えるからである。一方が死ぬように，他方も死ぬ。皆ただ一つの霊を持っており，したがって人が獣に勝るところは何もない。すべてはむなしいからである。皆一つの場所へ行く。それはみな塵から出たものであって，みな塵に帰ってゆく。」(伝道の書3:19,20)

　伝道の書は、人の命と死後について何を教えているでしょうか。

伝道の書は詩篇と同じように人が死ぬとそれで終わりであることを示しています。人間は死ぬことに関しては動物と何ら変わりがないと述べています。動物が死ぬように人間も死にます。

動物も人間もただ一つの霊を持っています。この霊とは何でしょうか。

この語はヘブライ語で「ウェルーアハ」です。ルーアハという語は基本的には「息」を意味していますが、その意味は基本的な語義を超えていろいろな概念を表わすのに用いられています。それらはすべて，肉眼には見えなくても力が働いていることをはっきり示すものを指しています。

たとえば、創世記 7章22節では大洪水の時に箱船の外にいた人間や動物が滅ぼされたことを描写して，「その鼻孔に命の力の息が活動していたものが・・・死んだ」と書かれています。ここで「命の力」と訳されているのは、「ルーアハ」です。それで、ルーアハは、息と結び付けられています。

ルーアハは人の息つまり呼吸で維持されています。また反対にルーアハつまり生命力があるので、人間は息をしています。それで、ルーアハというのは、人の命を生かしている生命力を表わしています。

伝道の書3章20節にあるように、人間も動物も塵を材料として神によって創造されました。それで、人間も動物も塵から出ました。でも、両者は生きている時には、「ルーアハ」すなわち生命力が、その塵で出来た肉の体に働いています。しかし、人も動物も死んでしまえば、生命力が失われて、ただの塵になってしまいます。人間も動物も死んでしまえば、無意識無存在という一つの状態になります。現在では、死ぬという点では人間も動物と変わらないという残念な状態にあります。

しかし、これは最初からこうなっていたのではありません。最初の人間アダムは「神の子」として「神の像」に創造されました。(ルカ3：38。創世記1：27)これらの描写は動物には用いられておらず、人間だけに用いられています。それで、人間だけが神の特質を与えられて神の像に造られました。また、人間だけが最初に地上の神の子という立場が与えられていました。

それで、親が子供に最善を願い、いつまでも生き続けることを願うように、最初は神は人間にいつまでも永遠に生き続けるという見込みを与えておられました。けれども、最初の人間アダムとエバは神に反逆して、「神の子」としての特権的な立場を失ってしまいました。そのために人間は現時点では、死ぬと動物の同じ状態に陥ります。

しかし、人間はもともと神の子ですから、神は人間に地上に永遠に生きるという見込みを差し伸べておられます。人間はイエスの贖いによって地上の楽園で永遠に生きられる時が来ます。(ヨハネ3：16)また、神は一部の人々には、天での永遠の命を差し伸べておられます。