一粒のたねから 第9回 「知る」ということの本当の意味

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

坂岡隆司
社会福祉士。精神保健福祉士。インマヌエル京都伏見教会員。

先日ある学生から、論文作成のためにインタビューをさせてほしいと依頼がありました。テーマは「施設コンフリクト」について、とのこと。
「施設コンフリクト」というのは、簡単に言えば、福祉施設などを建設するときに、地域住民との間に起きる紛争、トラブルのことです。もっと広い意味でも使われることがあるようですが、おもには福祉施設建設時の反対運動などを言います。福祉関係では、残念ながら昔からよく聞く話で、しかも精神障害関係の施設となるとなおさらです。実は、からしだね館も、最初の建設計画のとき、住民の方々の激しい反対にあって、やむなく頓挫したという苦い経験をしています。そんなこともあってか、どうやらその学生は、わざわざ当館に問い合わせて来たようでした。
当時のいきさつはどうだったか。なぜ反対されたのか。何が問題だったのか。熱心に質問してくる学生に答えながら、私はあることに気付きました。それは、その当時私の心の中に渦巻いていた様々な感情や思いが、時間の経過とともにかなり変化してきているということです。

*    *    *

もう十年ほど昔になりますが、当時、私の心の中にあったものは、反対する人々を責める気持ち、怒り、いら立ちでした。どうして彼らは理解しようとしないのか。それは偏見、差別ではないのか、という義憤のようなものでした。
なぜ彼らは反対するのか。その時の私の理解は、一言でいって「無知」ということでした。というのは、地元の方々は決して福祉に理解がないわけではなく、こういう施設が必要であることには異論はないのです。けれども、自分の家の近くに施設ができることは拒否する。いわゆる「総論賛成・各論反対」というもので、それは結局、病気や障害に対する無知から来るのではないか、と私は考えました。
何度となく開催した説明会でも、建設自体には反対しない、しかし、なぜわざわざこの町内なのか、とよく聞かれました。逆に、どうしてここではだめなのですか、と問うと、こんな答えが返ってくるのでした。「障害者は何をするかわからない」「何かあったら責任を取れるのか」
「それは誤解です。統計を見てもそれは明白です」などと言っても、まったく受け付けてもらえません。話し合いは、いつもそこでストップするのでした。
つまり、障害者に対する正しい理解がない。そのうえ、(当時から問題になってはいましたが)マスコミによる思慮のない犯罪報道。これも、人々の意識に大きな影響を与えていたのでしょう。犯罪報道に精神鑑定の話題や通院歴のことなどが加われば、誰でも不安になり、精神障害者を拒絶します。精神障害者は怖い、となる。
だからこそ、本当のことを知ってもらおう、と私は躍起になりました。しかし、力めば力むほど、話し合いは空回りするばかりです。結局、この最初の計画は失敗に終わりました。
その後、からしだね館は、場所を移した第二次計画によりスタートすることができました。おかげさまでこの七年間、ご近所とは良いお付き合いをさせていただいています。
こうした経験を通して私が悟ったのは、この場合の「知る」というのは、一般論としての障害者知識ではなく、あくまでも個人レベルでの、人と人のつながりやふれあいのことを指すのだということでした。
実際、ある本に、日常的に障害者との個人的な付き合いがなされている地域では、それだけ彼らがコミュニティーに受容されている、という調査報告が紹介されています。(石川信義『心病める人たち』岩波新書/二三二―二三四頁)
知るということ。それも抽象的にではなく、個人的、具体的、日常的に。これが施設コンフリクト解消の大事なポイントではないか。私は学生にそんな話をしたのでした。

*    *    *

学生は良い話を聞いたと言って帰っていきました。けれども私は何かスッキリしません。どこか話がきれいすぎるのです。
私はあらためて、からしだね館の七年間を振り返り、いろいろな出来事を思い出しました。そしてつくづく実感したのは、知るということはまた、ますますわからなくなることだということです。知るということは、実はわからないということを思い知っていくことでもあります。
そういう意味では、誤解を恐れずに言えば、やはり人はいつだって何をするかわからないものだし、怖い存在です。それでも、受け入れていく。関心をもつ。迎え続ける。それが、人を「知る」ということの本当の意味かもしれません。

The Cross Pendant

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Emmanuel

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