永原郁子
マナ助産院院長
アレルギー対策で、遅らせていた離乳食を最近(六か月)スタートさせました。いつぐらいから始めるのがよいのでしょうか。病院の先生によって違うようなのですが。(栃木県/YK)
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離乳食については様々な考えが交錯しているのが、今の日本の実情です。たとえば母子手帳に書かれている「離乳食完了」の項目ですが、二〇〇二年四月までは一歳の欄に書かれていましたが、一歳六か月の欄に移りました。「断乳」という文字が削除されたのもこの時です。二〇〇七年に厚生労働省から出された「授乳、離乳の支援ガイド」では、“離乳食の準備”(一か月から番茶、二か月から果汁、三か月からスープ、四か月からおもゆを与え、五か月からドロドロ状態の離乳食を与える準備をすること)ということばがなくなり、「離乳の完了」も十二~十八か月頃とされました。
ご質問にも書かれているように、病院の先生によって指導が違ったり、育児雑誌や育児書にも明らかに違うことが書かれているのは、このように離乳食の考え方が変わってきたからなのです。もともと日本では、離乳食の開始は歯が生え始める六~八か月からとされてきましたが、戦後、欧米の離乳食の考え方の影響を受け、早期離乳食が勧められるようになりました。同時に、母乳より栄養的に優れているミルクで育てるようにという間違った指導が主流になっていきました。ミルクで育てたほうが頭の良い子になるとも言われ、母乳率が二〇%を下回った時期もありました。
ミルク栄養の普及に伴って、早く離乳食を開始する必要性はますます高まりました。当時のミルクは今ほど母乳の成分に近づいておらず、どちらかと言えば牛乳そのものでしたので、鉄分やビタミンCが少なく、その上、鉄分の吸収を妨げるカルシウムやリンがたくさん含まれていました。赤ちゃんには鉄分がたくさん必要ですので、鉄分の吸収を助けるビタミンCを補う必要があり、早めに果汁を飲ませるように指導されるようになりました。
母乳で赤ちゃんを育てていた時代は“離乳食の準備”という考え方はありませんでしたが、ミルクで育てるにつれ必要となったのです。理由の一つが「色々な味に慣らせるため」です。母乳で育つ赤ちゃんは色々な味の変化を経験しています。たとえば母親が食べた物によって毎回味の違う母乳が出ますし、一回の授乳の間でも、飲み始めはたんぱく質や脂肪が少ないのですが、徐々にたんぱく質の濃度が高くなり、その後、脂肪の濃度が高くなって、こってりとした母乳に変わっていきますが、ミルクではそうはいきません。“離乳食の準備”が必要とされたもう一つの理由は、食べ物を咀嚼する準備です。母乳は哺乳瓶とは違い、母乳を飲むことそのものが咀嚼の練習になるのですが、哺乳瓶の場合は、噛んで飲み込むという経験ができません。
最近では、母乳で育つ赤ちゃんも増えていますし、ミルクの成分も随分母乳に近づいています。哺乳瓶も母乳を飲む動作に近づける工夫がされているので、離乳食の準備や早期離乳は必要なくなってきています。むしろ弊害もあります。にも関わらず、当時の考え方が、今も言われ続けているのが混乱の大きな原因と言えます。
最近の離乳食の考え方の大きな特徴のいくつかを紹介します。まず、月齢で決めるのではなく、その子に合わせて離乳食を開始します。目安は、①よだれがでる。②母乳やミルク以外の食べ物に興味を示す。③手づかみで口に運ぶ動作ができる。この三つのサインがそろったら離乳食を始めます。だいたい、歯の生えてくる六か月頃のことが多いのですが、サインが揃うまでは待つことです。
次に、特別に離乳食を作るのではなく、食事の献立に赤ちゃんが食べられるものを入れておき、それを取り分けて食べさせることです。柔らかさは乳頭ぐらい。歯茎ですりつぶすことができればいいのです。みそ汁の具や柔らかめに炊いたご飯などから始めたらいいと思います。以前は、「味付けは薄く」と言われましたが、薄味のご家庭なら、特別な味付けにしなくてもいいです。初めてのものは、アレルギーがないかどうか体調を見ながら、少量ずつ食べさせてあげてください。また、食事は家族の団らんですので、十時や二時など特別な時間帯に食べさせるのではなく、家族と一緒に楽しく食べることが基本です。焦らずに、「初めて」に好奇心いっぱいのお子さんの様子を楽しんでください。そのうち大人と同じ食事ができるようになります。
パウロはコリントの信徒をこのような赤ちゃんの様子にたとえて、「堅い食物を与えませんでした」(Ⅰコリント3・2)と言ったのでしょうね。
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