人間の集まるところでは、かならずといってよいほど、対立や分裂、不和や混乱が起こります。それは私たち人間が、自分の判断こそ正しいと考え、自分の利益を常に優先させようとするからではないでしょうか。また、他者とともに生きようとせず、しかも真実から遠ざかろうとするからでではないでしょうか。職場や学校で、さらには家庭や教会の中でさえ、意見の違いや小さなすれ違いが、深刻な事態にまで発展することがあります。
コリントの信徒への第1の手紙を読むと、この世で活動を開始したばかりの教会の中にも分裂や混乱が生じたことがわかります。私は、こともあろうに「教会」の中に分裂が生じたことを思うと、悲しくなります。皆さんも、そういう話を聞くと、落胆したり、教会そのものに嫌気がさしてしまうかもしれません。しかしパウロは、そのありさまを嘆くばかりでなく、どのようにその混乱を乗り越えることができるかを指摘しています。
パウロは、コリントの信徒への手紙(1)の3章の3節で、コリントの教会の信徒たちに向かって、
「あなたがたの間にねたみや争いが絶えない以上、あなたがたは肉の人であり、ただの人として歩んでいるということになりはしませんか」
と語りかけています。
つまり、教会であろうと、なかろうと、ただの人間がちもに生きようとする以上、ねたみや争いは絶えなくて、当然だとパウロは指摘しています。
キリストの教会といっても、そこに集まる人たちは、人間にすぎません。
どんなに理想的なことを語っても、どんなに立派な行いをしようと努力しても、人間は人間にすぎません。人間である以上、意見や生き方が違って、ときにはぶつかり合うことは避けることはできません。問題は、それをどう克服するかだと私は思います。
私たちを成長させてくださる神:パウロは、3章の7節で、そういった混乱の中にも、「私たちを成長させてくださる神」がおられると述べています。そしてその神さまを信頼し、その神さまのもとで「力を合わせて働く」ときに、私たちは、それぞれの違いを乗り越えて、ともに歩むことが大切だと語っています。
私たち人間の交わりを船にたとえることができます。
福音書の中には、弟子たちが船に乗り込んだところ、暴風雨が起きたという箇所があります(マルコによる福音書4章35節)。
暴風雨が起こると、船は波に飲まれそうになります。船は浸水し、沈みそうになります。その船に乗っているのは、人間です。弟子たちといえども、人間です。
人間は、船が沈みそうになると、慌てふためき、船を正しい方向にあやつることができなくなります。何かをしようとすると、ますます船は波に飲み込まれていきます。
これは人間である以上、避けられないことです。そもそも暴風雨を避けることはできません。
でも教会という船が、キリスト者の交わりという船が、ほかの船とは違うところがあります。それは、その船の中に、イエスさまがいてくださる‥‥ということです。イエスさまがいてくださるから、たとえ船が波にのみこまれそうになり、沈みかけても、私たちは、安心して目的地へ向かうことができます。いやイエスさまが、私たちを向こう岸へと導いてくれます。
大切なことは、神がともにいてくださる、主イエス・キリストがここにおられる‥‥ということです。主イエスを中心に交わりを築き、ともに歩むときに、私たちはさまざまな混乱を乗り越えて前進することができます。
パウロは、「私たちを成長させてくださる神さまがおられる」と指摘しながら、その神さまのもとで、私たち一人ひとりが、それぞれの役割を探しだし、それぞれが力を合わせて、ともに歩むようにと勧めています。
私たちの間に、考え方や生き方の違いがあっても、それを対立や混乱の原因とさせてはならないのです。むしろそれぞれの「違い」を、私たちを成長させてくださる神さまのもとで生かし合うことが大切なことなのです。
パウロは12章で、身体の各部分がそれぞれの役割を果たすことによって、人間はひとつの全体として生きていくことができると指摘しています。教会にも、また家庭や人間のさまざまな交わりにも、このことは当てはまります。
ともに力を合わせて働くということは、みんなが同じことをしなければならないということではありません。
自分には、これはできる。自分はそんなに積極的に、神さまのためといって、大きな働きができるわけではないかもしれないけれども、人の話を聞くことはできる。いっしょに泣いたり、笑ったりすることはできる、いっしょに祈ることはできる‥‥。いや、自分にはもう少し余裕がある。やろうと思えば、もう少し力がある、時間がある。‥‥このうように、それぞれが力を出し合って、それぞれの違いをお互いのために生かすことが大切です。
パウロは、コリントの信徒への第1の手紙で、「すべてがひとつの部分になってしまったら、どこに体というものがあるでしょう」と語っています。教会に集まる人たちが、みな同じように考えたり、行動したりすることがあるとすれば、それは、本当の一致ではありません。たとえば信仰について質問すると、イエス・キリストの救いについて尋ねると、判を押したような返事が返ってくる‥‥ということがあるとしたら、そこで一人ひとりが神さまに生かされているとは言えないのではないでしょうか。
足は手になる必要はないし、足に手の役割を負わせる必要もありません。足は手のようになれないといって、嘆く必要はありません。足は、足としての役割を十分に果たすことが求められています。だけど決して、足は足だけで孤立しているのではありません。足が足としての役割を負うことができるように、体のそれぞれの部分は、足の働きを支えています。また足が痛めば、その足に無理をさせないように、体の他の部分が足をかばったり、負担がかからないようにします。それぞれの部分が補い合い、支え合って、自分ひとりでは決してできないことができるようになります。それが教会です。
さて、パウロは、12章で一つひとつの部分があって、それが生かされてこそ、ともに歩むことができるようになると述べ、そしてさらに13章で、愛について述べています。
パウロは決して、12章でひとつのテーマについて論じ、次の13章で、まったく別の新しいテーマについて論じているわけではありません。
私たちには、それぞれ違った存在であり、その違いを強調すれば、私たちは、争い合ったり、ねたみ合ったりし、不和や対立が起こるばかりなのですが、私たちを生かしてくださる神さまがおられることを知り、それぞれに神さまから与えられているものを生かすことによって、ともに歩むことができるようになります。パウロは、その時に、「もっとも大切なものは、愛である」とこの部分で指摘しています
13章の冒頭に、
「どんなに立派な言葉を語り、どんなに立派な行動を起こそうとも、もし愛がなければ、一切は無に等しい」と書かれています。
さらに2節後半で、「山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも、愛がなえれば、無に等しい」と書かれています。
パウロは、決して信仰において一致しなさいとか、信仰があれば一致できるのだ‥‥とは語っていません。たとえ完全な信仰を持っていようとも‥‥という部分は、たとえ自分ひとりが、完全な信仰を告白し、神さまを信じようとも‥‥というようにとらえることができます。
自分が神さまと向き合い、神さまを信じ、神さまとの正しい関係に立っていると考えようとも、もしその自分自身が、他者との生きた、真実な関係に生きなければ、隣人を愛し、隣人とともに生きようとしなければ、神とさまの真実な関係に生きているとは言えない‥‥ということです。隣人を愛すことなしに、自分だけ神を愛そうとしても、それは神さまの望んでいることではない、それでは神さまを愛することにはならない‥‥ということです。
愛とは、異質なものをひとつに結びつける力です。神さまは、罪人である私たちを愛し、受け入れてくださいました。私たち罪人と和解し、その罪を赦してくださいました。そして私たちが、地上的なさまざまな違いを乗り越え、愛をもってお互いを受け入れ、ともに歩むようにと導き、必要な力を与えていてくれます。同じものどうしが結びつくのは、当たり前です。しかし異なる者が、以前は他人であった者どうしが結びつくのです。
イエスも、パウロも、何よりも、神さまが私たちを愛し、受け入れてくださると語りました。そして私たちを愛し、私たちを成長させてくださる神さまのもとで、愛を持って生きることが大切だと語りました。そのことを、私たちは、忘れないようにしたいと思います。
私はあなたがたを愛している! 私があなたがたを成長させる!‥‥と語りかけてくださる神さまがおられます。
その神さまは、遠くから、私たちを招いたり、励ましたり、力づけてくださるというのではなく、私たちと同じ船に乗り込んでくださいます。その愛に生きるながら、私たちも愛する者となって、それぞれを生かし合い、ともに力を合わせて歩みましょう。
He is a cross pendant.
He is engraved with a unique Number.
He will mail it out from Jerusalem.
He will be sent to your Side.
Emmanuel
Bible Verses About Welcoming ImmigrantsEmbracing the StrangerAs we journey through life, we often encounter individuals who are not of our nationality......
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