忠実な良い僕

ここで引用される聖書の著作権は日本聖書協会に属します

忠実な良い僕

村上 伸
アモス書8,4-8;

タラントンのたとえは、ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた(14節)という言葉から始まる。

ある人が旅行に出かけたというのは、復活した主イエスが天に昇り、もはや我々の肉眼では捉えられない存在になったということを暗示している。だが、彼は行きっぱなしではない。再び帰って来るだろう。これを再臨という。

十人のおとめの話も、キリストの再臨を花婿の到来にたとえ、その肝心の時に目を覚ましているかどうかが問題だという。では、羊と山羊を分けるという分かり易いイメージを用いて、最後の審判について語る。つまり、25章に出てくるたとえは三つとも、終末に備えてどう生きるべきかということをテーマとしているのである。

 

さて、今日のテキストに注目しよう。主人(=キリスト)が出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けたという。一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けた(15節)。タラントンというのは、古代ギリシャやユダヤで用いられていた貨幣の単位だ。1タラントンは6,000デナリに当たる。当時の日雇い労働者の1日の賃金が1デナリだったと言われるから、ほぼその20年分だ。まして、5タラントンとか2タラントンといえば、莫大な金額である。本田神父は思い切って五億円とか二億円と訳しているが、我々にはこのほうがピンと来る。

預けたものは、いつか清算しなければならない。主人が清算すると、最初の二人は預けられた金をうまく運用して、それぞれ同じ額を儲けていた。そのために、彼らは褒められる。だが三人目の人は、主人が勘定高い・厳しい人だということを知っていたので失敗を恐れ、敢えて冒険をしなかった。といっても、ただ怠けていたわけではない。彼なりにいろいろ頭を働かせ、知恵を絞ったのであろう。商売をしてもうまく行くとは限らないし、当時の経済状況では銀行(本田訳では両替屋)だって当てにはならない。両替屋がつぶれることなど珍しくなかったからである。現代の大銀行だって破綻するではないか!タンス預金というやり方もあるが、これは、マタイ6章19節に言われているように、盗人が忍び込んで盗み出したりするかもしれない。考えた末にこの人は、秘かに地面に穴を掘って隠しておいた。これが、財産を守るためには一番安全な方法だと考えたのだ。これはこれで筋が通っている。

ところが、この人は主人から厳しく叱責される。特別に怠けたとか、非常に悪いことをしたとかいうわけではないのに、怠け者の悪い僕だ(26節)と決めつけられた。一体、どんな理由でこんなに強く叱責されなければならなかったのか?

前の二人は、忠実な良い僕だ。よくやったと賞賛された。お前は少しのものに忠実であったから(21節;23節)というのがその理由であった。これを引っくり返すと、お前は少しのものに忠実でなかったからということになるだろう。これが、三人目の人が叱られた理由だと思われる。

だが、少しのものに忠実であったとか忠実でなかったというのは、どういうことか? それに、五億円とか二億円、あるいは一億円という金額は、少しのものとは言えない。このように、この話には辻褄の合わぬ所が多い。

私は、今日の譬えを、現代の問題に当てはめて、次のように理解したい。

人間は誰でも、それを生かして用いるべきもの、つまり可能性を神から預かっている。それは、正確にはいのちを守り育む可能性である。その可能性は、我々の中には少ししかないと感じられるかもしれない。我々は小さな人間に過ぎない。だが、その少しのものに忠実であること、それを働かせてなすべきことをすること。これが人間の本来の在り方である。その可能性を、何もせずに地面の下に埋めておくようなことはしてはならない。それは人間の本来の在り方に背くことであり、この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ(30節)と言われても仕方がない。

 

今日は、長崎に原爆が投下された64回目の記念日である。この原爆投下という出来事は、我々に憤ろしい・悲しい記憶だけではなく、課題も残した。このように愚かな悪は、いかなる理由でも正当化してはならないということを、全世界に向かってたゆまずに訴え続けるという課題である。我々は、この課題に忠実でなければならない。その機会を地面の下に埋めておくようなことをしてはならない。

私は、ここでアインシュタインのことを考える。彼は、相対性理論によって知られる20世紀最大の物理学者であった。その彼が、1939年に合衆国のF.ルーズベルト大統領に宛てて、将来、原子エネルギーを軍事的に利用することが可能になるだろうということを示唆する書簡を送った。これに刺激されて、マンハッタン(原爆開発)計画が始まったのである。彼自身は直接に原爆開発に参与することはなかったが、このことを終生ひどく気に病んでいたという。彼のように優れた物理学者でも、豊かに与えられた能力・可能性を正しく生かすことは難しい。

パウル・デッサウという現代作曲家の『アインシュタイン』というオペラがある。原爆が爆発した瞬間の凄まじい映像が舞台一杯に映し出される。閃光がきらめき、大音量の爆発音が響く。その中から、アインシュタインの苦悩の呻きが聞こえる。これは、現代の我々に対する警告ではないだろうか。



The Cross Pendant

He is a cross pendant.
He is engraved with a unique Number.
He will mail it out from Jerusalem.
He will be sent to your Side.
Emmanuel

Buy Now

bible verses about welcoming immigrants

Bible Verses About Welcoming ImmigrantsEmbracing the StrangerAs we journey through life, we often encounter individuals who are not of our nationality......

Blog
About Us
Message
Site Map

Who We AreWhat We EelieveWhat We Do

Terms of UsePrivacy Notice

2025 by iamachristian.org,Inc All rights reserved.

Home
Gospel
Question
Blog
Help