箴言27章・他の人へのねたみを克服する

　箴言には、ねたみという感情が非常に強く、人が容易にそれに圧倒されてしまうことを述べています。箴言は、「ねたみの前に誰が立ち得よう」と語っています。(箴言27:4)

　聖書の中には、さまざまな人がねたみに屈して罪を犯したり、非常に苦しんだり、互いに争い合ったりしたことが記されています。そのような例を調べて、私たちがどのような教訓が得られるかを考えてみましょう。

〇カイン

　人類の中で、最初にねたみに屈して罪を犯したのは、アダムの長子であるカインです。カインとアベルはそれぞれ神に犠牲を捧げました。アベルの捧げ物は、神に好意を持って受け入れられましたが、カインの捧げ物は顧みられませんでした。(創世記4:3-5)

　神が天から火を下らせて供え物を焼き尽くすなどその供え物を受け入れたことを示す超自然的な印があったのかもしれません。カインはアベルが高められたことをねたみました。

　エホバ神は、カインに良いことをすればカインも高められると言われました。(創世記4:6,7)それで、カインは自分も高められる可能性を考えて、自分のねたみとアベルに対する怒りと憎しみの感情を制御するべきでした。  ところが、カインはねたみの感情に負けて、弟のアベルを殺害しました。(創世記4:8)

(cainabel9)カインはアベルに対するねたみを制御しなかったので殺人という恐ろしい罪を犯してしまいました

　私たちは、他の人が良い特質があるために高められる時、自分もその人と同じような特質を培って神に喜ばれようと考えましょう。また、聖書はカインのように愛に欠けることを戒めています。他の人の良い特質をねたむのではなく評価し愛しましょう。(ヨハネ第一3:11,12)

〇レア

　ヤコブの二人の妻レアとラケルは、夫のヤコブの愛と子どもの数で争いました。肉の姉妹たちが一人の夫の妻になってしまったことは、非常に気の毒な状況でした。　ラケルは姿も顔立ちも美しく、レアは容貌が劣っていました。そのために、ヤコブの愛はより一層ラケルに向いていました。(創世記29:18,30,31,33)レアは、そのことを苦しみラケルをねたみました。

　　しかし、レアのそのことに、賢明に対処しました。レアはそのどうしようもない状況をエホバ神に訴えました。それで、ラケルはただ二人の息子を得ただけでしたが、レアは6人の息子たちとディナという娘の母となりました。（創29:32‐35;30:16‐21）

　

Dante'sVision of Rachel and Leah (leahandRachel)ヤコブの妻レアは夫の愛と子どもの数でラケルと争いました

　レアは子だくさんになったので、ヤコブの愛が少しでも自分に向くようにという希望を持ちました。レアが神に顔を向けたことは無駄にはなりませんでした。レアは確かに神が自分を助けてくださっていることを喜ぶことができました。(創世記29:31,32;30:18,20)

　レアは第一番目にヤコブに愛されることはかないませんでしたが、ダビデ王を産み出す家系となったユダ族と、神に専任仕えるレビ族を産み出す母となるという誉れを神から与えられました。

Iscenesattsituasjon, 1900 by National Library of Norway(jealousy2)レアは夫の愛がラケルにより一層向けられていたのでしっとに苦しみました

　それで、神はその人の外見にかかわりなく、その人の敬神の思いに報いて下さいます。(サムエル第一16:7)私たちは、自分ではどうしようもない状況でねたみに悩まされる時、神に心を向け神に祈るべきだと思います。エホバ神は、ご自分の方法で、私たちの問題を軽減する助けになってくださいます。

(prayer57)レアはエホバに心を向けエホバに祈りエホバはレアの祈りを聞かれました

〇ヨセフの兄弟たち

　ヤコブの息子たちは、父ヤコブが兄弟たちの中でヨセフを一番愛したので、ヨセフをねたんで、ヨセフをエジプトに奴隷として売り飛ばしました。(創世記37:28)　ところが、ヨセフの方は兄弟たちに何の敵意も抱いていなかったので、後になって彼は兄弟たちを大いに助け、彼らが生き永らえるようにしました。

JosephSold by His Brothers (joseph10)ヨセフの兄弟たちはヨセフをねたんで奴隷として売り飛ばしましたがヨセフは後で兄弟たちを助けました

　それで、私たちは自分たちがねたんでいるその人と良い関係を持っていれば、その人から助けられる場合もあることが分かります。

　

　ヤコブは確かに、ヨセフを一番愛していましたが、ヨセフ以外の息子たちを愛していないわけではありませんでした。ヤコブは兄弟たちにも必要物を備えて、父親としての務めを果たしていました。　兄弟たちは自分たちが与えられている物をヨセフと比べて不平の気持ちを抱くのではなく、自分たちが神から与えられている物に感謝していればヨセフに対するねたみを制御できたはずです。

(prayer57)ヨセフの兄弟たちは自分たちが与えられていた物を感謝していればしっとに対処できたでしょう

　また、ヨセフは神から預言的な夢を与えられたので、兄弟たちの中でも際立って神に対する敬神の念を持っていたことでしょう。ヨセフの兄弟たちは、そうした神の目に望ましいヨセフの特質を評価してヨセフに対する愛を培うのが正しいことでした。

〇サウル

　サウル王はダビデが自分よりもより一層褒められた時、ダビデに対するねたみにかられて彼を殺そうとするようになりました。しかし、ダビデが褒められた時、決してサウルが無視されていたのではなく、サウルも褒められていました。(サムエル第一18:6,7)

　また、ダビデの側にはサウルに対する競争心は何もありませんでした。また、ダビデは、サウルのために戦い、サウルに戦果をもたらしました。  サウルはダビデのような強力な部下がいることを喜ぶこともできたはずです。しかし、自分の部下の優れている点を認めるためには、確かに私たちには謙遜さが必要でしょう。サウルは残念なことにその謙遜さに欠けていました。

　それで、私たちは私たちが嫉妬を抱くその人が、自分に対しては何も敵意を抱いていない場合があることを気づかなければなりません。  それで、自分が持っている嫉妬を抑制しさえすれば、私たちはその人と良い関係を楽しむことができ、その人はわたしたちを助けてくれさえするのかもしれないのです。

(david24)サウロは自分に戦果をもたらしてくれる有能な部下をしっとして自分の益を損なう行動をとりました

〇十戒のおきて

　十戒には他の人の所有物をねたんで欲しがらないようにという戒めがあります。(出エジプト20:17)   他の人の所有物、例えば他の人の持っている衣服をねたんで欲しいと考えて、自分がその衣服を着てもサイズが違ったり、必ずしも自分には似合わなかったりするかもしれません。その衣服はただそれを持っているその人に似合うだけかもしれません。

GeorgeVilliers, 2nd Duke of Buckingham, with his Brother Lord FrancisVilliers by lisby1(jealousy4)(dressingroom)TorontoHistory他人によく似合う衣服が自分に似合うとは限りません

　また、他の人の妻をねたんで欲しいと考えたとしても、他の人が自分の妻になったとしても、必ずしも、幸福になれない場合があるかもしれません。必ずしも、自分とその人が適合性があるわけではないかもしれません。

(happycouple)他の人の妻が欲しい思っても自分と彼女では幸福になれないかもしれません

　それで、私たちは聖書を洞察してみるならば、私たちの持つねたみの感情を抑制する助けがあります。私たちは知恵によってねたみを抑制しましょう。そして、他の人の良い特質を評価する愛を培いましょう。