ダニエル5章・ダニエルの解き明かしはその日のうちに成就する

ダニエル5章・ダニエルの解き明かしはその日のうちに成就する

「まさしくその夜，カルデア人の王ベルシャザルは殺され，メディア人ダリウスがその王国を受けた。」(ダニエル5：30，31)

バビロンのベルシャザル王は宮殿で大きな宴会を催し、酔った勢いで、不敬にもエルサレムの神殿から運んできた器類を持って来させ、それで、ぶどう酒を飲み、バビロニアの偶像の神を賛美しました。その時、人の手の指が現れて、宮殿の壁に文字を書きました。ベルシャザルは、その手の甲を見て、非常に怖れ驚きました。

　王はバビロンの賢人たちを集めてそこに書かれたことを解き明かすように求めましたが、誰もそうすることができませんでした。その時、王妃がダニエルを呼んで解き明かしをさせるように推薦しました。そこでダニエルが連れてこられました。

ダニエルは次のように解き明かしをしました。「書き記されたその文字はこうです。メネ，メネ，テケル，そしてパルシン。この語の解き明かしはこうです。メネ，神はあなたの王国[の日数]を数えて，それを終わらせた。テケル，あなたは天びんで量られて，不足のあることが知られた。ペレス，あなたの王国は分けられて，メディア人とペルシャ人に与えられた。」(ダニエル5：25～28)

「メネ、メネ、テケル、そしてパルシン」という文字は、おそらく子音字だけで書かれていたようで、適切な母音をつけて正しい解釈をすることが必要でした。それらの言葉自体は「一ミナ、一ミナ、一シェケル、そして半シェケル(複数)」という意味でした。それで、パルシンは、半シェケルという意味のペレスの複数形です。ダニエルはその文字の解き明かしを行い、神がバビロンの王朝を終わらせ、メディア人とペルシャ人の手に落ちることを預言しました。

その時、ベルシャザルは命令を出し、解き明かしをする者に約束していたように、ダニエルに紫をまとわせ、金の首飾りを首にかけさせ、ダニエルが王国の第三の支配者となることを布告しました。(ダニエル5：29)

ある時期の古代のバビロンの文書がすべてナボニドスをバビロンの最後の王としていたので、ある人は聖書は間違っていると主張していました。しかし、近年発見された碑文は、ナボニドスがベルシャザルを任じてバビロンの王に就かせていたこと、ナボニドスがその子ベルシャザルと共同統治をしていたということが記録されていました。また、西暦前3世紀のバビロンの神官ベロッソスの著作によれば、ナボニドスはバビロンの陥落のさいに、そこにおらずに、バビロンの陥落後、キュロスに降伏したことが述べられています。

このことは、ベルシャザルがダニエルを王国の第二の支配者ではなく、第三の支配者と布告したことも、裏付けています。ベルシャザルは自分がナボニドスに次ぐ第二の支配者だったため、ダニエルを第二の支配者と布告することはできませんでした。

そして、冒頭の聖句にあるように、その夜ベルシャザルは殺されました。宮殿の中で宴会が続いている間、キュロスに率いられたペルシャの軍勢は減水したユーフラテス川を渡り、開け放たれていた城門を通ってバビロンの宮殿に侵入したのでしょう。

おそらく、ダニエルが王国の第三の支配者と宣言された直後に、ペルシャの兵士たちが宮殿の宴会の場に突入してきて、ベルシャザルを殺したのでしょう。なんと劇的な聖書の預言の成就でしょう。ダニエルの預言の解き明かしはその日のうちに成就しました。

(2009年10/23の「キュロスに関する預言とその成就」も参照されてください。)