コミュニティとしての教会

聖書に出てくる用語、クリスチャンが使う用語を説明しています。 ヘブル的視点で解説されていますので、すでにクリスチャン歴が長い方にも新しい発見があるかもしれません。

本郷台キリスト教会 牧師 池田 恵賜

 

「コミュニティとしての教会」と聞くと、どのようなイメージをもたれるでしょうか。一般的には、教会でバザーをしたり、教会のスペースを地域の集まりのために開放したりすることでしょうか。最近では、子ども食堂をする教会も増えてきています。
どのような取り組みであれ、教会と地域の接点を作ることがポイントです。

 

私の経験から
私が「地域との接点を作る」という時に心に刻んでいる、一つのエピソードがあります。それは、アメリカからクリスチャンの元メジャーリーガーが来日し、野球教室を開いてくれるという話が舞い込んできた時のことです。
私は地域の子どもたちに喜んでもらえると思って、ある方に紹介していただいて地域の少年野球協会の会合に行きました。張り切って指定された時間より前に着いたのですが、会合はすでに始まっていました。
部屋に入ると、会長さんが「まだ会議中だから外で待っていてくれ」と言うのです。そこで、私は廊下で待っていましたが、何か思っていたのとは違う雰囲気を感じました。かなり待たされた後に会議が終わり、「最後に」と言って、中に招き入れられました。そこで私は今回の主旨を説明し、協力を仰ぎました。すると、会長さんは私に一言「今回は〇〇さん(地域の有力者)の頼みだから来てもらった。あなたがたが勝手にやるのは構わない。しかし、当協会としては協力できない。以上」と言って会合は解散してしまいました。私たちの教会を、何か新興宗教の一つと思われたのかもしれません。会長さんはキリスト教を警戒しているように感じました。
考えてみると、そこにいた監督の方たちはみんな野球が大好きで、小さい頃から野球をしている人たちでした。社会人になってからも、自分の休みの日を返上してまで、子どもたちに野球を教えるほど野球好きな方々です。当然、日曜日に教会に行く時間なんてありません。これでは日曜午前しか開いていない教会と接点の持ちようがありません。「彼らがキリスト教を新興宗教と勘違いしても仕方ないな」と思ったのです。
私たちの教会は、それまで何度も地域への全戸トラクト配布をしていました。新聞折り込みでクリスマス・トラクトを配ったこともありました。それで教会の置かれている地域五万世帯、約十二万人に福音を届けていると思っていたのです。しかし、実際には教会の存在さえ知らない方々が多くいたのです。

 

人間関係が大切
この時、私は「教会が地域との接点を持つためには、教会の人たちが地域の様々なコミュニティに出て行き、そこで人間関係を築かなければ始まらない」と気付かされました。
コミュニティは、共通の価値観や目的をもって集まる集団です。そこでは人間関係が重要です。大抵の場合、人間関係をゼロから築くには時間がかかります。しかし、私たちはすでに教会や家族以外にも、職場、学校、自治会、サークル活動などいくつものコミュニティに属しています。「コミュニティとしての教会」を築く時、牧師一人では限界がありますが、教会に集う一人ひとりが、そのイメージを共有するなら可能性は一気に広がります。
「教会」という建物を中心に考えるのではなく、教会員がもっている繋がりに「コミュニティとしての教会」を広げていくイメージです。建物中心ではなく、繋がり中心の教会が「コミュニティとしての教会」なのです。
私たちの教会では、若者たちが中心になって「フェスティバル」というイベントを開催しています。昨年行った「フェスティバル」では、地域から三百人の子どもたちが来ると予想して準備していましたが、ふたを開けてみると、想定の倍の六百人もの子どもたちが来ました。
これは教会と教会の関連団体と地域との繋がりが機能していたため、もたらされた結果です。

 

教えられた三つのこと
「コミュニティとしての教会」のイメージを教会員が共有し、それが実際に機能するためには、遣わされている一人ひとりがそのコミュニティの中で影響力をもつ必要があります。そうすると、初めは小さな働きであったとしても、地域の方々に影響が及んで、地域から必要とされる働きに育っていく可能性が出てきます。私たちの教会では、そのような小さな働きから始まり、現在では、社会福祉法人、一般財団法人、NPO法人を取得して、保育園、チャーチスクール、サッカースクール、フィットネスジム、デイサービス、訪問介護、特定相談支援、介護支援、居住支援、障がいがある方々のための作業所、学童保育、ウクライナ避難民支援などを行うに至っています。

そのような経験から教えられた三つの大切なことを最後に挙げておきます。
①支え合う…支え合うことが大切です。教会の中でもそうですが、行政や地域の方々にも支えていただかなければ私たちの働きは成り立ちません。繋がることで支え合えるのです。クリスチャンだから、一方的に相手を支えてあげるというのではなく、私たちもまた周りの方々に支えてもらう必要があるのです。
②違い、変化を受け入れる…私は「違いは広がりだ」と考え、教会の方々にもよくそのようにお伝えしています。いろいろな立場の人が集まるときに、お互いの違いに目を向けて自分の意見を主張し合うだけではうまくいきません。私たちは違いではなく、一致している部分に焦点を当てる必要があります。そうすることで協力でき、働きは広がっていきます。
③イエスの愛で愛する…これが一番大切なことですが、イエス様の愛で愛し合うことです(ヨハネ13・34)。クリスチャンとそうでない方々との最大の違いは、イエス様の愛を受け取ったかどうかということです。イエス様の愛は仕える愛です。弟子たちの足を洗い、「あなたがたも互いの足を洗い合いなさい」と命じられました。私たちがイエス様の愛を実践する時、世との違いが明らかになります。それが証しとなるのです。ですから「コミュニティとしての教会」を目指すならば、まず教会が「イエスの愛で愛し合うコミュニティ」になっているかどうかが大切です。その上で、私たちも積極的に地域社会に出て行き、人々と関係を築き、イエス様の愛を実践するのです。

 

現代の教会が、その置かれた地域から浮いた存在になるのではなく、地域を必要とし、地域に必要とされる教会となり、関係(繋がり)を通して主の愛を証しし、福音を伝える存在となり続けるなら、どんなに素晴らしいことでしょうか。

 

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